業務中に運転していると、思いがけず軽微な接触を起こしてしまうことがあります。特に「音はしたけど車に傷は見当たらない」「その場では大したことなかった」と感じた場合、そのまま現場を離れてしまう人も少なくありません。しかし、その対応が後になって大きな問題になることもあります。この記事では、軽い接触事故でも法的責任が問われる可能性や、適切な対処法について解説します。
軽微な接触事故でも「報告義務」はあるのか
道路交通法第72条では、「交通事故を起こした場合、直ちに車を停止させ、負傷者の救護や危険防止措置を講じ、警察へ報告する義務がある」と定められています。この“交通事故”には、他人の物や設備などに損害を与えた場合も含まれます。
そのため、たとえ「コツン」と当たった程度でも、物損が生じた可能性がある場合には、原則として警察に届け出る必要があります。
通報せずに立ち去るとどうなる?「当て逃げ」と判断される可能性
事故後に現場を確認せず立ち去った場合、「当て逃げ(物損事故不申告)」とされる可能性があります。これが発覚すると、道路交通法違反として違反点数5点・1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される場合があります。
特に、事故現場に第三者(今回のようにガードマンなど)がいて通報された場合、後日警察から事情聴取を求められることは十分にあり得ます。
軽微な接触でも証拠が重要
実際に物損があったかどうかは、現場をきちんと確認しない限り判断できません。たとえ社用車側に傷がなかったとしても、接触した物や設備に損害があれば、それは事故として処理されます。
そのため、接触の記憶がある場合は、必ず現場で写真を撮ったり、周囲の人(目撃者)がいればその話を聞いたりして記録を残すことが大切です。
事故後にとるべき適切な対応とは
- 1.安全な場所に停車する
- 2.現場と車両を確認し、写真を撮影
- 3.接触対象があれば、所有者に報告
- 4.警察へ連絡(必要と判断されれば物損事故として処理)
- 5.会社にも速やかに報告
特に社用車での事故の場合、報告を怠ると社内での処分や損害賠償責任にもつながる可能性があるため注意が必要です。
処罰を避けるためにできること
今回のように「軽く当たったかもしれない」「相手に損害があったか不明」というケースでは、自己判断で“問題なし”とせず、できるだけ早く警察や会社に報告することが、後のトラブル回避に繋がります。
また、今後の対策としてドライブレコーダーの活用もおすすめです。万一の際の客観的証拠となり、自身の運転が適切だったかを証明する材料にもなります。
まとめ:軽微な接触でも「無視」はNG
たとえ体感で大した事故ではないと思っても、警察への報告義務があるケースは多く存在します。「見た目は無傷だったから」とその場を離れると、思わぬ通報や処罰の対象になる可能性があるため注意しましょう。
事故後の対応一つで、自身の信用や法的リスクは大きく変わります。もしものときは冷静に、適切な手続きをとることが最も重要です。