交通事故において「人身事故」となる場合、事故当日ではなく、後日人身事故として処理されるケースもあります。とくに加害者側に交通違反がないような場合、この処理タイミングについて疑問を持つ方が少なくありません。本記事では、事故日と人身事故処理日がずれる理由やその影響、警察や保険の対応について解説します。
人身事故と物損事故の違いとは?
交通事故は大きく分けて「物損事故」と「人身事故」に分類されます。物損事故は物への損害のみ、人身事故は負傷者が出た場合に該当します。
初期段階では物損事故として処理されることも多く、負傷者側が後日、医師の診断書を警察に提出することで「人身事故」として正式に切り替わるのが一般的です。
交通違反がない場合でも人身事故になることはある?
加害者側に違反行為がなかった場合でも、被害者にけがが生じた時点で、人身事故の届出が可能です。ただし、警察が刑事責任を問う判断(例えば業務上過失傷害の立件など)は、違反や過失の程度によって変わります。
違反がなければ「刑事処分なし・行政処分軽微」というケースもありますが、診断書提出により人身事故として取り扱われ、自賠責保険請求のための『事故証明書(人身事故扱い)』が必要になります。
事故日と処理日(人身扱い日)が異なるケース
たとえば、交通事故が6月1日に発生し、当初は物損事故として処理。被害者が6月3日に病院を受診し、同日警察に診断書を提出した場合、人身事故の処理日は6月3日と記録されることがあります。
この場合でも「事故発生日」自体は6月1日のままですが、処理上は人身事故への切り替えが6月3日という扱いとなります。これにより、保険会社の手続きや警察の捜査にも若干のタイムラグが生じることがあります。
診断書の提出と人身事故届の注意点
人身事故扱いにするためには、医師の診断書を警察に持参する必要があります。これをもとに実況見分が行われ、場合によっては事情聴取や現場検証が再度行われることもあります。
特に治療期間が長引く見込みのあるケースでは、保険会社や労災の手続きの都合上、早めの提出が望まれます。提出のタイミングによっては、警察が実況見分を省略することもあるため、事前に連絡をしておくとスムーズです。
保険や行政処分への影響はある?
人身事故扱いになった場合、加害者の行政処分(点数・反則金)が発生することがあります。ただし、違反がなく過失が軽微であれば、処分はされないか、軽い注意喚起にとどまることもあります。
保険については、人身事故として認定されれば、自賠責保険の被害者請求や任意保険の人身傷害保険などの手続きが可能になります。事故処理の形式が変わることで、補償額や適用条件に影響する場合があるため、事前に保険会社への確認も重要です。
まとめ:事故発生日と人身事故処理日の違いを理解しよう
人身事故であっても、処理日が事故日と異なることはよくあるケースです。特に交通違反がない場合は、診断書の提出が処理開始の起点になることが多く、その日付が警察記録に反映されます。
事故の記録がどう処理されているかは、後々の保険請求や法的対応に関わるため、疑問がある場合は、早めに警察や保険会社へ確認することをおすすめします。