交通事故で被害を受けた際、特にトラックなど大型車両との事故で10対0の過失割合であっても、保険会社からの提示額が低すぎて困惑するケースが少なくありません。今回は、実際に修理費が100万円かかるところ、保証金額が30万円と提示された事例をもとに、被害者として適切な賠償を得るための交渉方法や対処法を解説します。
そもそも車両保険の「時価額」とは?
加害者側の保険会社は、被害者の車の「時価額」を基準に賠償額を決定します。これは新車購入価格ではなく、事故当時の中古市場での価値を指します。
そのため、年式が古かったり走行距離が多かったりする車は、修理代が100万円でも「時価額30万円」が上限とされ、残額は自己負担になってしまうこともあります。これが“全損扱い”の現実です。
泣き寝入りしないための3つの具体的な行動
- ① 修理可能であれば「全損拒否」の意思を示す
全損とはいえ修理が可能であれば、被害者の意思で修理を選択することができる場合もあります。相手保険会社に「修理を希望する」旨を伝え、交渉の糸口とします。 - ② 弁護士に相談・交渉を依頼する
交通事故専門の弁護士に依頼することで、慰謝料や修理費に関して交渉が有利になることがあります。特に弁護士費用特約が自分の保険についていれば、無料で相談・交渉が可能です。 - ③ 物損以外の請求も検討する
事故によって営業損害や通院などが発生している場合、物損以外の賠償(慰謝料、代車費用、交通費など)も請求対象になります。
時価額査定が妥当か?異議申し立ての方法
提示された時価額が不当に低い場合、異議申し立てが可能です。査定額の根拠(レッドブックなど)を求めたり、同車種・同年式・同条件の中古車相場を提示することで再交渉できる可能性があります。
また、第三者機関(自動車査定協会など)に依頼し、客観的な査定書を取得して証拠とする方法も有効です。
実例:交渉で保証金額が3倍に増額されたケース
ある中古軽自動車の被害者は、当初20万円の提示に納得できず、インターネットで同条件の販売価格(35~50万円)をリスト化して保険会社に提示しました。結果、再査定が行われ、最終的に60万円の賠償金を受け取ることに成功しました。
このように、情報を集めて主張を裏付けるだけで、提示額を覆すことは十分に可能です。
もし話が進まなければどうする?
- 交通事故紛争処理センターの利用
無料で中立な立場の弁護士が間に入って示談交渉をサポートしてくれる公的機関です。 - 弁護士費用特約の活用
自動車保険に付帯していれば、自己負担なく弁護士に相談できます。多くの場合、事故直後からでも遡って適用可能です。
まとめ:諦める前に行動を
✔ 提示された金額に納得がいかない場合は「そのまま受け取らない」。
✔ 時価額の根拠を求め、資料をもとに異議申し立てを。
✔ 弁護士特約があれば、すぐに専門家に相談。
✔ 泣き寝入りではなく、交渉の余地は常にある。
一方的に不利な条件で話が進んでしまう前に、適切な知識と証拠を武器に交渉を進めましょう。