債務整理を行うと、信用情報に記録が残り、いわゆる“ブラックリスト”状態になることがあります。特に複数の金融機関から借入れがある場合、「どの時点から信用情報に影響が出るのか」「他社への影響はどうなるのか」など、気になる点が多いかと思います。この記事では、債務整理とブラック期間の関係を、実例を交えながら解説します。
債務整理とは?ブラックリストに載る仕組み
債務整理とは、借金の返済負担を軽減するための法的手続きで、主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。このうち任意整理では、対象とする債権者を選べるのが特徴です。
ただし、手続き対象になった債権者との情報は信用情報機関に登録され、事故情報(いわゆるブラック情報)として5年間記録されます。この5年間という期間が、クレジットカードやローンの審査に影響する「ブラック期間」と呼ばれるものです。
完済から5年?登録から5年?信用情報のカウント起点
信用情報機関が事故情報を登録するのは、債務整理の完了=対象債権者との和解成立日や完済日が基準です。つまり、債務整理をしたA社との和解が成立し、返済を終えた日から5年間が基本です。
他方、債務整理をしていないB社の借入れについては、事故情報には記録されません。ただし、他社での債務整理の事実を間接的に信用審査で見られる可能性はあります。
具体例:A社のみ任意整理した場合の時系列
たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
- 2022年1月:A社とB社から借入れ
- 2023年1月:A社のみ任意整理を実施
- 2024年6月:A社への返済を完了
- 2025年以降もB社には返済中
この場合、A社との債務整理完了(2024年6月)が起点となり、信用情報のブラック記録は2029年6月まで続く可能性があります。一方で、B社への返済状況は通常の信用情報として扱われます。
B社の返済が残っているとブラック期間は延長される?
いいえ、延長されません。信用情報の登録期間は、あくまで債務整理をしたA社との完済タイミングが起点になります。B社の返済が残っていても、債務整理の対象でなければ事故情報としては登録されません。
ただし、B社への返済が滞った場合は別途延滞情報として登録され、今後の信用に悪影響を及ぼします。
債務整理をしていない会社の信用情報への影響
債務整理をしていないB社への影響は直接的にはありません。しかし、B社が信用情報機関を通じて他社の事故情報を参照する場合、「一部債務整理あり」と読み取られるリスクがあります。将来的な追加融資や条件変更の際に不利になることはあるかもしれません。
まとめ:ブラック期間の起点と社別整理の理解が大切
債務整理をした会社に対しては、完済からおおむね5年間、信用情報に事故情報が記録されます。債務整理をしていない会社への返済状況は独立して管理され、ブラック期間の延長には影響しません。
借入れ先が複数ある場合は、債務整理の対象を明確にし、それぞれの信用情報への影響を把握することが重要です。事前に専門家へ相談し、自身の信用情報や将来の生活設計に合った判断を行いましょう。