交通事故において加害者側の過失が10割とされた場合、損害賠償の責任は非常に重くなります。特に任意保険に加入しておらず、自賠責保険のみという状況では、被害者への補償は大幅に不足し、重大な法的リスクが伴います。本記事では、自賠責しか入っていない状態で過失10割事故を起こした場合に起こりうること、逃げたらどうなるのか、そして救済策について具体的に解説します。
過失10割・任意保険なしの事故で発生する損害とは
自賠責保険はあくまで「対人賠償」の最低限の補償であり、「対物損害(車・物など)」や逸失利益・慰謝料の全額はカバーされません。任意保険に未加入の場合、被害者の車の修理費・廃車代・休業損害などはすべて加害者の自己負担になります。
例えば被害者が3人乗っていた場合、それぞれに治療費・慰謝料・通院交通費などが発生します。仮に1人あたり200万円請求されたとすると、3人で600万円以上の賠償義務が発生する可能性があります。
「逃げたらどうなる?」支払い拒否のリスク
「お金がないから逃げる」「無視する」という選択肢は絶対に避けるべきです。相手側が弁護士特約を使って訴訟を起こせば、裁判所の判決により強制執行(給与差押え・預金凍結など)に進む可能性が高まります。
支払能力の有無にかかわらず、裁判で損害賠償が確定すれば「債務」として残り、逃れることは困難です。
自己破産すれば損害賠償を免れることはできるのか
交通事故による損害賠償債務は、原則として自己破産により免責が認められる債務に該当します。ただし、以下の例外があります。
- 飲酒運転や無免許運転など故意・重過失があった場合
- 人身事故で被害者が重度後遺障害・死亡した場合
通常の物損・軽傷であれば、自己破産の申立てと同時に債務を整理できる余地がありますが、免責の可否は裁判所の判断に委ねられます。
お金がなくてもできる現実的な対応策
まずは状況を整理し、法テラスや自治体の無料法律相談を利用しましょう。費用がかからない法律相談で、自己破産の可能性や債務整理、支払計画のアドバイスを受けられます。
また、被害者側との示談交渉を早期に進めることで、分割払いなどの現実的な支払条件を提案できる場合もあります。
弁護士特約がある相手への対処はどうするべきか
相手が弁護士特約を利用している場合、法的手続きをスムーズに進めてくる可能性が高く、無視や放置は非常に危険です。こちらも弁護士に相談し、対等な立場で交渉を進めるための支援を受けることが不可欠です。
まとめ:逃げるより「相談・整理・誠意ある対応」を
任意保険未加入で過失10割という状況は非常に厳しいものですが、「逃げる」「無視する」という選択はさらに深刻な結果を招きます。支払能力がない場合でも、法的手段によって整理・減額・分割の道を探ることは可能です。
まずは無料で使える公的相談機関を利用し、正しい知識と対応を得ることが、未来を守る第一歩です。