「バーを無許可で営業していたが、すでに廃業している」というケースでも、後から発覚すれば罪に問われるのか?という疑問は、風営法や食品衛生法の知識がないと判断が難しいものです。この記事では、廃業済みであっても違法営業が発覚した場合の法的責任や時効、実際の摘発例について詳しく解説します。
バー営業に必要な許可とは?
日本でバーを営業する場合、基本的に以下の許可・届出が必要です。
- 飲食店営業許可(食品衛生法)
- 深夜酒類提供飲食店営業の届出(風営法)※深夜0時以降も酒類を提供する場合
これらを取得せずに営業することは、それぞれの法律に違反する「無許可営業」となります。
たとえば、深夜0時を超えて酒類を提供していた場合、風営法第33条違反にあたり、懲役2年以下または罰金200万円以下の刑事罰の対象です。
営業が終わっていても違法は違法
たとえそのバーが現在は営業を終了していたとしても、無許可営業という事実が過去にあった場合、それが証明されれば刑事責任が問われる可能性があります。
警察や保健所などが後から情報を得て調査し、過去の営業実態が立証された場合、書類送検や事情聴取が行われることもあります。
時効はあるのか?風営法・食品衛生法の公訴時効
刑事罰には時効(公訴時効)が設けられています。無許可営業に該当する場合、主に次の時効が適用されます。
- 風営法違反:懲役2年以下→時効3年
- 食品衛生法違反:懲役2年以下→時効3年
つまり、最後に無許可で営業した日から3年を超えると、基本的には処罰の対象外になります(刑事責任の消滅)。
ただし、この「3年」は発覚した日からではなく違反行為の終了日から起算されます。
実際にある摘発例や調査方法
過去には、近隣住民からの通報や、SNSや口コミサイトの投稿を通じて、廃業後に無許可営業が発覚した事例もあります。
例えば、食中毒事故や近隣トラブルが発生し、その後の調査で「営業許可がなかった」ことが判明し、過去の営業者が処罰対象となった例もあります。
また、保健所は過去の届出状況や営業実態を記録しており、第三者の申告を受けて調査を行うことがあります。
誤解しやすい「廃業すれば逃れられる」という考え
「もう営業していないから大丈夫」「今は何もしていないから関係ない」というのは誤解です。過去の違法営業は「消える」わけではなく、時効内に証拠が残っていれば廃業後でも摘発・送検される可能性があります。
反対に、時効が成立している場合は捜査対象外となる可能性が高くなりますが、前科として記録が残ることや行政処分歴が影響するケースもあります。
まとめ
無許可でバーを営業していた場合、たとえ廃業済みであっても、違法行為の証拠があれば風営法や食品衛生法違反として処罰される可能性があります。
ただし、刑事処分には原則として「3年の公訴時効」があるため、営業終了日から3年以上が経過していれば、通常は起訴されることはありません。
過去に無許可で営業していたかもしれないという懸念がある場合は、早めに法律相談窓口や行政書士・弁護士に確認することをおすすめします。