新聞の戸口訪問による契約は、身近ながらトラブルが多い分野です。特に「3ヶ月だけ」「もう訪問しません」といった言葉を信じて契約したにもかかわらず、再び勧誘が来て再契約してしまうケースが後を絶ちません。本記事では、このような訪問販売の実態と、法的にどこまで保護されているかについて解説します。
戸別訪問による新聞契約は特定商取引法の対象
新聞の戸別訪問契約は、「訪問販売」に該当し、特定商取引法が適用されます。契約時には勧誘目的の明示、契約内容の書面交付、クーリングオフの案内が義務付けられています。
今回のような「もう来ない」「3ヶ月だけ」などの発言が、実態と異なっていた場合には不実告知に該当する可能性があります。
「もう訪問しない」という説明は不実告知にあたる?
不実告知とは、契約に大きく影響する重要な事項について虚偽の説明をすることです。例えば、「再訪問はない」と説明されたのに、後日また別の販売員が来た場合、これは事実と異なる説明です。
知人がその説明を信じて契約したのであれば、その発言は契約意思決定に影響を与える重要事項と評価される可能性があります。つまり、法的に争う余地はあります。
クーリングオフ期間を過ぎていても対応できる可能性
通常、訪問販売では8日以内であればクーリングオフが可能です。しかし、事業者側の不実告知や不適切な勧誘があった場合には、クーリングオフ期間が経過していても契約の取消や損害賠償を主張できる場合があります。
ただし、証拠として「訪問時にどういう説明があったか」「契約書面の内容」「販売員の名刺や録音」などがあるかどうかが重要になります。
再契約の背景と新聞販売の勧誘事情
新聞販売業界は、契約件数に応じて販売員の報酬が決まるため、強引な再勧誘が常態化しているケースもあります。「担当が変わったので前回の話は無効」などと口頭で言われることもありますが、これは非常に問題のある対応です。
実際に消費生活センターには「再度の訪問勧誘に困っている」「約束が守られていない」という苦情が多数寄せられています。
解決に向けてできること
- まずは販売元の新聞社や販売店に書面でクレームを出し、再契約の経緯や訪問内容を記録として残す
- 最寄りの消費生活センターに相談し、具体的な対応策を仰ぐ
- 場合によっては法テラスや弁護士への無料法律相談を活用する
電話よりも書面やメールで記録を残すことが後々の証拠になります。
まとめ:一度の訪問だけと信じて契約した場合は不当勧誘の可能性も
新聞の訪問販売において「一度きり」「再訪問はしない」という説明で契約に至った場合、それが事実と異なれば不実告知にあたる可能性があります。クーリングオフ期間を過ぎていても、販売員の説明と実態に明確な乖離があるならば、対応を検討する価値は十分にあります。
まずは冷静に経緯を整理し、消費者保護の仕組みを活用して対処しましょう。泣き寝入りする前に相談することが大切です。