債務整理の一環として弁護士に任意整理を依頼している最中に、裁判所から支払督促(支払い命令)が届くというケースは少なくありません。和解交渉の途中であっても、債権者が法的手続きを進める可能性はあります。この記事では、任意整理と支払督促の関係、そして今後の対応についてわかりやすく解説します。
任意整理と支払督促はなぜ同時に進行するのか
任意整理とは、弁護士が介入して債権者と直接交渉し、借金の返済条件を見直す手続きです。しかし、任意整理に法的拘束力はないため、債権者が裁判所へ支払督促を申し立てることも可能です。
たとえば、債権者が任意整理による和解に応じず、強制執行による回収を望む場合、支払督促や訴訟に踏み切ることがあります。これは債権者の「別ルートでの回収手段」として合法的に行われます。
支払督促が届いたらどうすべきか?
支払督促が届いた場合、2週間以内に「異議申立て」を行わないと、督促は確定し強制執行(差押え等)に繋がる可能性があります。
弁護士に任意整理を依頼している場合は、届いたその日中に速やかに弁護士へ連絡しましょう。対応を誤ると、せっかくの交渉が無意味になるおそれがあります。
異議申立てをすればどうなる?
支払督促に対して異議申立てをすると、通常の民事訴訟に移行します。この際、すでに弁護士が代理人として交渉している場合、訴訟対応も引き続き委任するケースが一般的です。
訴訟になった場合でも、裁判所を通じた和解(調停や和解契約)での解決が可能です。この段階で任意整理と同様の条件で和解できることもあります。
支払督促と強制執行の関係
支払督促が確定すると、債権者は給与や預金口座などへの差押えを裁判所に申し立てることができます。これは「強制執行」と呼ばれ、個人にとって非常に大きなダメージとなります。
そのため、支払督促の放置は絶対に避けなければなりません。異議申立てが最後の防波堤であることを認識しておきましょう。
実際のケース:任意整理中に督促が届いたAさんの例
たとえば、Aさんは弁護士に依頼して消費者金融3社と任意整理の交渉を開始。そのうち1社が交渉に応じず、支払督促を申し立てました。Aさんがすぐ弁護士に連絡し、異議申立てを実施。裁判所を通じた訴訟に移行後、同等の和解案で合意に至りました。
このように、迅速な対応と法的手続きを理解している弁護士の支援があれば、深刻な事態は回避可能です。
まとめ:支払督促は終わりではなく分岐点
任意整理中に裁判所から支払督促が届いても、慌てずに弁護士へ連絡を取ることが重要です。支払督促は、債権者側の一手段であり、それに対して法的に対応する道が用意されています。
適切なタイミングで異議申立てを行い、引き続き和解交渉または訴訟で解決を目指すことで、借金問題を前向きに乗り越えることが可能です。