交差点などでよく見かけるのが、左折車が大回りして右車線に入り込んだり、対向車が中央線を越えて走行してくる場面です。もしこのような状況で接触事故が起きた場合、過失割合はどう判断されるのでしょうか。本記事では、事故のパターンごとに過失割合の考え方を解説します。
左折時に大回りする行為の違法性
道路交通法第34条では、左折は道路の左側端に沿って行うことが定められています。つまり、大回り左折は違反行為となり、事故が発生した場合は左折車に一定の過失が認められます。
特に左折する際に右側の対向車線まで大きくはみ出した場合、「安全確認義務違反」や「車線逸脱による進路妨害」として扱われることもあります。
中央線を越えて直進する対向車の違反
一方で、対向車が明らかに中央線を越えて直進していた場合、それもまた「通行区分違反」に該当します。これは重大な違反であり、事故に至った場合には対向車側にも重い過失が認められることになります。
過去の判例でも、中央線を越えて進行していた車には重大な過失があると判断されるケースが多く見られます。
想定される過失割合の一例
左折車の大回りと中央線越えの直進車が衝突したケースでは、基本的に双方に過失があります。
- 左折車:大回りによる進路妨害(例:30~50%)
- 対向車:中央線越えによる通行違反(例:50~70%)
実際の割合は、道路形状、信号の有無、速度、衝突箇所、目撃証言などにより変動します。したがって、一律に判断されるわけではなく、ケースバイケースです。
事故状況の記録と証拠が重要
過失割合は、双方の言い分や証拠に基づいて決定されます。したがって、事故発生時には以下の対応が非常に重要です。
- ドライブレコーダーの映像を確保
- 現場写真や車両の損傷箇所を撮影
- 目撃者の連絡先を確認
- 警察に必ず連絡し、事故証明を取得
保険会社との交渉でも、これらの証拠が過失割合を左右する大きな要素となります。
交通事故の専門家への相談も視野に
過失割合に納得がいかない、保険会社とのやりとりに不安があるという場合は、交通事故に詳しい弁護士への相談も検討しましょう。法テラスなどを利用すれば無料相談が可能な場合もあります。
特に軽微な事故であっても、後の補償額や保険の等級に影響が出ることがあります。適切な対応をとるためにも、専門家のアドバイスは有効です。
まとめ:両者に違反があれば過失は分配される
左折車の大回りも、対向車の中央線越えも、それぞれが交通違反にあたり、事故が起きれば過失割合の判断が必要になります。どちらか一方が完全に悪いとされるケースは少なく、事故状況の詳細により割合は変動します。
被害を最小限に抑えるためにも、日頃から正しい運転を心がけるとともに、事故発生時には証拠の収集と適切な対応を取ることが肝心です。