自動車に追突された際、特に停車中の無過失事故では、被害者としての権利を最大限に活用し、適切な補償を受けることが重要です。今回は、追突事故での補償内容や慰謝料の目安、さらに産後まもない方が事故に遭った場合の考慮点について解説します。
追突事故における10対0の意味と保険対応の基本
停車中の車に後方から追突された場合、多くのケースで加害者側の過失が100%となる「10対0」の事故と認定されます。この場合、加害者側の任意保険(対物・対人)で全額補償されるのが原則です。
ただし、加害者が任意保険に加入していない場合や、自賠責保険のみの場合は、被害者が自身の保険(人身傷害補償特約など)を使う必要が出てきます。
車の修理と評価損(格落ち)の補償について
今回のように新しい車が事故により損傷を受けた場合、「修理後の車の価値が下がる=評価損(格落ち)」が発生します。この評価損についても、加害者側保険会社に請求可能です。
たとえば、新車で購入した車が事故によって事故車扱いとなると、下取りや売却時の価格が数十万円単位で下がることもあります。この差額を「評価損」として請求できるかは、状況によって異なるため、専門家への相談を推奨します。
慰謝料の目安と母子に関する配慮
慰謝料は、入通院日数や症状、年齢などに基づいて算出されます。軽度のむち打ち等で通院3ヶ月程度の場合、1人あたり30万円〜50万円程度が相場です。
赤ちゃんや子どもについても、たとえ外傷がなくても、事故に遭った精神的苦痛に対して慰謝料を請求できます。生後1ヶ月の乳児がチャイルドシートに乗っていた状況などは、リスクの高い状況とされ、配慮されやすいです。
産後・産褥期に事故に遭った場合の注意点
出産直後は身体が完全に回復していない産褥期に該当します。事故による精神的ショックやホルモンバランスの影響も含めて、通常よりも長期の治療・通院が認められる可能性があります。
医師の診断書や通院記録をしっかり残し、事故による体調不良やストレスなども記録しておくことが大切です。
示談交渉と弁護士の活用
保険会社から提示される賠償金額に納得がいかない場合、弁護士特約を使って弁護士に依頼することが有効です。特約が付いていれば、自己負担なしで弁護士に示談交渉を任せられ、慰謝料や評価損の増額交渉が期待できます。
また、交渉のストレスを軽減し、被害者が心身の回復に専念できる環境が整います。
まとめ:事故後は冷静に記録・証拠を確保し適切な請求を
停車中に追突された場合は、被害者の責任は基本的にゼロであり、保険会社への請求権利を正しく行使することが重要です。車両の損害に加え、評価損や慰謝料など、さまざまな補償対象があります。
産後間もない時期であれば、体調や精神的負担も考慮される余地があり、無理をせず治療と補償交渉を進めることが大切です。困った時は弁護士や専門家に相談することで、より適切な対応ができるでしょう。