行方不明者の安否確認と告知の仕組み|虐待の疑いがある場合はどうなるのか

身近な人が行方不明になった場合、警察が対応にあたりますが、安否情報が届出人にしか伝えられないという制度に疑問を抱く方も多いでしょう。特に、その届出人が本人を虐待していた疑いがある場合、本人の安全や権利はどのように守られるのかが気になります。本記事では、警察による行方不明者の安否確認の流れや、虐待の可能性がある場合の対応について詳しく解説します。

行方不明者の捜索と情報提供の基本ルール

日本の警察では、行方不明者(特異行方不明者)の捜索は、原則として家族などの関係者による「行方不明届」が出されてから始まります。発見後の安否や居場所の告知についても、基本的には届出人や家族のみに限定されます。

これは、本人のプライバシーと意思を尊重するための配慮でもあります。成人であれば、自分の意思で居場所を隠す自由もあり、警察はその選択を尊重せざるを得ません。

虐待の可能性がある場合の例外的対応

もし届出人が過去に本人を虐待していた、あるいはその疑いがある場合、警察は安否情報の告知を制限・拒否する場合があります。これは「本人の保護」を最優先とする措置です。

例えば、本人が保護された後、警察や医療機関に「虐待された家族には知らせないでほしい」と申し出た場合、その意思が尊重され、たとえ親族でも安否が伝えられない可能性があります。

本人が保護された場合に取られる可能性のある処置

自殺企図や精神的な危機状態で保護された場合、精神科病院への措置入院や保護入院が行われることがあります。この際、本人が望まない限り、身内への連絡は行われません。

また、DV・虐待・家庭内トラブルが背景にある場合、警察や福祉機関が連携し、シェルターなどで一時保護されることもあります。こうしたケースでは、届出人であっても、本人の所在や安否の詳細は伝えられません

第三者ができること|警察や人権機関への申し出

もしあなたが本人の信頼できる友人であり、虐待の事実を知っているのであれば、「警察に第三者として情報提供する」ことが可能です。以下のような内容を伝えると良いでしょう。

  • 本人から聞いた虐待の具体的内容
  • 絶縁状態にあったこと
  • 保護されている可能性があること

また、法務省の人権相談窓口や地域の福祉事務所でも、こうしたケースに関して相談を受け付けています。

本人の意志を最も尊重するという考え方

行方不明者が発見された場合、その後の対応は本人の意思が最優先されます。つまり、本人が「虐待した親に知られたくない」と判断すれば、それが最大限に考慮されます。

精神科で保護されている場合でも、本人が第三者への連絡を希望した場合は、その意思に基づいて通知される可能性もあります。あなたが信頼されていたのであれば、連絡が来る可能性はゼロではありません。

まとめ|希望を手放さず、できる行動を選ぶ

虐待の疑いがある場合、警察は届出人に安否を通知しないという対応を取ることがあります。その場合、本人の保護や安全が確保されている可能性も考えられるため、ただちに絶望する必要はありません。

信頼できる関係者として、警察や人権機関への情報提供を通じて間接的に支援することも、できる行動のひとつです。何より大切なのは、本人の権利と安全が守られていること。その視点を忘れず、冷静に対応を検討していきましょう。

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