車を買取店に売却する際、「売った後に故障が見つかったら責任を問われるのでは?」という不安を抱く方は少なくありません。特に契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)については、専門的な理解が必要なテーマです。今回は、個人が買取業者に車を売った場合に、後日トラブルが発覚したときの責任の範囲や対応策について解説します。
契約不適合責任とは?基本をおさらい
契約不適合責任とは、売買契約に基づいて引き渡された物が、品質や性能などで契約内容に適合しない場合、売主が買主に対して負う責任のことです。これは2020年4月の民法改正によって整備され、かつての「瑕疵担保責任」に代わる形で導入されました。
たとえば、車両を「走行に支障がない状態」で引き渡す契約だったのに、重大なエンジントラブルが隠れていた場合、それは契約不適合に該当します。
個人が買取店に売却した場合の責任の範囲
個人が中古車買取店に車を売却する際、基本的には「現状渡し」であることが多く、契約書や査定票に「契約不適合責任を免除する」旨が明記されていることが一般的です。
つまり、買取店(買主)は個人(売主)に対し、通常は契約不適合責任を問うことができないケースが多いのです。ただし、以下のような場合は例外です。
- 売主が重大な故障を知りながら故意に隠していた場合
- 虚偽の申告をしていた場合(例:「事故歴なし」と偽った)
買取店が第三者に売却した後に故障が判明したら?
買取店がさらに別の顧客に転売し、その新たな買主が故障などに気付いた場合、買取店が損害賠償請求を受けることがあります。このとき、買取店が「もともと個人の売主(あなた)に責任がある」と考えた場合、あなたに対して求償する可能性もゼロではありません。
しかし、前述の通り、売却時に虚偽の申告や重大な事実の隠蔽がなければ、買取店が個人に責任を問うことはほとんどありません。むしろプロとして査定・販売を行う業者に過失があると見なされるケースが一般的です。
トラブルを避けるための売却時の注意点
不安を軽減するには、次のような対策を講じておくことが重要です:
- 事故歴・修理歴・不具合は正直に伝える
- 売買契約書をよく読み、「契約不適合責任免除」の文言があることを確認する
- 引き渡し時の状態を記録(写真や点検記録)として残す
これらの対策をとっておけば、後日のトラブルを回避できる可能性が高まります。
実例:個人売却後にトラブルが発生したケース
ある事例では、売却から半年後に「エンジンオイルの異常消費」が発覚し、買取店から個人に連絡があったものの、売主は当時その不具合に気づいていなかったため責任を問われずに済みました。このように、「知っていたかどうか」が重要な分岐点となります。
まとめ:契約不適合責任を理解し、安心して車を売却するために
車を個人が買取店に売却した場合、原則として契約不適合責任は免除されていることが多く、後日トラブルが発覚しても責任を問われるケースは限定的です。ただし、虚偽の申告や重大な隠蔽があった場合は例外となります。
トラブルを避けるためには誠実な申告と書面での確認が最も大切です。しっかりと記録を残し、安心できる形で売却を進めましょう。