交通事故の後遺症は回復することもある?認定後の経過と注意点を解説

交通事故で後遺障害等級の認定を受けたあとでも、症状が軽減したり、完全に回復したというケースは少なからず存在します。本記事では、後遺症が「治る」可能性やその場合に考慮すべき点、後遺障害等級との関係について詳しく解説します。

後遺障害認定とは?

後遺障害とは、治療を継続しても完治せず、身体に何らかの機能障害や痛みなどが残る状態を指します。これを自賠責保険の基準に基づいて等級認定するのが「後遺障害認定」です。認定されると、等級に応じた慰謝料や逸失利益が請求可能になります。

ただし、あくまでも「治癒の見込みがない」または「症状固定」と判断された時点での認定であり、将来的に症状が改善してはいけないというわけではありません。

後遺症が改善・治癒するケース

後遺症のなかには、時間の経過や適切なリハビリ、医療措置などによって症状が軽減、または消失することもあります。特に多いのは以下のような例です。

  • むち打ち症などの神経症状が、月単位のリハビリで改善した
  • 関節の可動域制限が、理学療法により改善された
  • 神経麻痺やしびれが、自然回復または手術後に治癒した

こうしたケースでは、後遺障害が一時的なものであったことになりますが、それが「制度上どう扱われるか」は別問題です。

後遺症が治った場合の等級・賠償の取り扱い

一度後遺障害が認定され、賠償が支払われたあとに症状が改善しても、原則として「認定取り消し」や「賠償金の返還義務」はありません。なぜなら、認定と損害賠償はその時点の医学的・法律的評価に基づいて行われているからです。

ただし、保険会社との交渉過程で「将来の改善可能性」について争いになる場合もあるため、症状固定時の医師の所見や通院履歴は慎重に整えておくことが望ましいです。

医学的な改善と法律的な判断のズレ

医療的には「治った」と判断されても、法律上では「損害が発生した」タイミングが基準となるため、補償の有無には直接影響しません。このズレを正しく理解することが重要です。

たとえば、「症状固定後に症状が消えた」という事実をもって慰謝料の返金を求められることは原則としてありませんが、訴訟などで問題となる可能性もゼロではないため、弁護士に相談しておくと安心です。

後遺症の改善に向けてできること

症状固定後も医療的改善をあきらめず、次のような方法で回復を目指すことは可能です。

  • 整形外科での定期診察と経過観察
  • 理学療法士によるリハビリ通院
  • 神経ブロックや漢方などの補助療法

また、改善したことが医師の診断書などで明らかになった場合は、職場復帰や生活への支障軽減にもつながるため、QOL(生活の質)の向上を目指す上で大きな意味があります。

まとめ

交通事故による後遺症が、認定後に改善・完治することは十分にあり得ます。法律的には、認定時点での症状に基づいて損害賠償が決定されるため、後の回復が直ちに不利益になることはありません。症状固定後も自身の回復をあきらめず、医師や専門家と連携しながら前向きに治療を続けることが大切です。

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