個人の預金や証券口座の差押えに66万円の基準があるって本当?差押えのルールと例外をわかりやすく解説

借金や税金の滞納が原因で、銀行口座や証券口座が差し押さえられるという事態に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。特に、個人の場合に「66万円以下なら差し押さえられない」といった情報を耳にしたことがある方もいるかもしれません。この記事では、個人と法人の差押えの違いや、実際の保護制度について詳しく解説します。

差押えとは何か?その基本を理解しよう

差押えとは、債権者(貸した側)が債務者(借りた側)の財産を法的手続きによって一時的に拘束し、強制的に回収する制度です。これは民事執行法に基づくもので、借金や税金の滞納、公的料金の未払いなどが原因となります。

差押えの対象には、不動産、給与、銀行口座、証券口座、車などが含まれます。特に銀行預金や証券残高は比較的回収しやすいため、差押えの対象になりやすい財産です。

個人の預金は66万円まで差押えが制限されているのか?

個人に関しては、「差押禁止債権」という制度があります。これは民事執行法第152条で定められており、給与や退職金などの一部に差押えの制限が設けられています。

しかし、預金残高そのものに対して「66万円以下なら差押えできない」という明確な法律上の規定は存在しません。66万円というのは、あくまで「最低限度の生活に必要とされる金額」や「給与債権の差押制限」の目安として使われているだけです。

差押えの対象になる条件とは

差押えを実行するには、債権者が裁判所を通じて「債権差押命令」を取得する必要があります。これは単に「借金を返さないから口座を止める」という私的制裁ではなく、法的な手続きに基づいて行われます。

個人であっても、口座にある預金は基本的に全額差押えの対象となり得ます。ただし、同じ口座で社会保険料や年金などが振り込まれている場合は、差押えが制限される場合もあります。

法人の口座には差押えの制限はある?

法人の場合、個人と異なり生活に必要な最低限度の保護が法的に認められていません。そのため、法人の銀行口座や証券口座にある資金は、差押え可能な金額に上限がなく、原則として全額が対象になります。

たとえば、未払いの法人税や社会保険料がある場合には、税務署や年金機構などの公的機関が強制的に回収を行うケースもあります。法人は「生活保障」が考慮されないため、差押えに対する保護は一切ありません。

実際に起こりうるケースと対処法

たとえば、個人事業主が事業資金として使っていた口座に100万円あり、税金の滞納が原因で差押えが入った場合、原則として全額が対象になります。もし、その中に生活費や給与振込が含まれていることが証明できれば、一部解除の申し立てができる可能性もあります。

また、差押えを避けるために他人名義の口座を使ったり資産を移転するのは、最悪の場合「詐害行為」として追及されることがあるため、法律の専門家への相談が不可欠です。

まとめ:個人の口座も差押え対象になるが状況により救済措置もあり

「66万円以下なら差押えされない」という噂は、部分的に誤解が含まれています。確かに差押えには制限が設けられているケースもありますが、基本的には預金や証券残高も差押えの対象となり得ます。

重要なのは、事前にリスクを把握し、万が一の事態に備えることです。差押え通知が届いた場合は速やかに弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切な対応を取るようにしましょう。

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