車を運転していると、思いがけず他人の車に接触してしまうことがあります。たとえ小さな傷や凹みでも、相手から予想以上に高額な修理費を提示されるケースは珍しくありません。本記事では、軽微な事故で18万円もの請求がされた場合の適切な対応や交渉のポイントについて解説します。
修理費に納得できない場合、異議を申し立てても問題ない
まず大前提として、納得できない修理費をそのまま支払う義務はありません。もちろん接触した側に過失があることは間違いありませんが、「高すぎる請求」に対して異議を示すことは合法的な権利です。
特に、相手が修理業者とつながっており、実勢価格を大きく上回る見積もりを出している場合は要注意です。
第三者による見積もりを依頼する
相手から提示された修理費が高すぎると感じたら、自分でも同等の修理内容で他社に見積もりを取ってみましょう。同じ傷と凹みでも工場によって価格差は大きく、特にディーラー系は高額になりやすい傾向があります。
たとえば、軽微なバンパー傷+凹みで「2〜4万円程度」が相場なのに、18万円と提示された場合には明らかに高額請求の可能性があります。
保険会社に相談して対応を任せるのも手
もし任意保険に加入しているのであれば、保険会社に全てを任せるのが安心です。保険会社は、請求額の妥当性をチェックし、過剰な請求に対しては交渉を代行してくれます。
「車両保険には入っていないが対物賠償保険はある」といった場合でも、今回のようなケースには適用されます。連絡を躊躇せず早めに相談しましょう。
示談書の取り交わしは慎重に
相手とのやり取りの中で、「示談書にサインしてくれ」と言われることがありますが、内容をしっかり確認することが非常に重要です。
たとえば、「今後一切異議を申し立てません」といった文言があれば、たとえ不当な請求だったとしても、後から争うことが難しくなります。
事故車の年式や価値も価格交渉の材料になる
今回の例のように「12年落ちの軽自動車」であれば、仮に新しい部品に交換したとしても、市場価値を上回る修理費の請求は合理性に欠けます。
裁判例でも、「事故前の車両価値を超える修理費は損害賠償の対象とならない」とする判断があります(いわゆる経済的全損の概念)。
最終的には簡易裁判所の調停も選択肢
相手が高額請求を取り下げず、保険も使えない場合は、簡易裁判所の民事調停という方法もあります。費用も少なく、弁護士なしでも利用できます。
たとえば、請求額が18万円なら、調停申立書を提出して第三者(調停委員)のもとで和解を目指せます。地域の簡易裁判所に電話で相談すれば、必要な手続きも教えてもらえます。
まとめ:冷静に、しかし毅然と対応することが大切
車の接触事故で、相手から高額な修理費を請求された場合でも、納得できなければ毅然とした対応が必要です。次のステップを押さえましょう。
- 第三者見積もりで妥当性を確認
- 保険会社に相談する
- 示談内容を慎重に確認する
- 必要なら調停制度を活用する
過失があるからといって「なんでも言い値で払う」必要はありません。常に冷静かつ正当な対応を心がけましょう。