輸入品の原産地表示を変更することの法的リスクと注意点

趣味やコレクション目的で輸入した品物に、元々の原産国とは異なるシールを貼り直すという行為は、商取引を目的としない限り違法性がないと考えがちです。しかし、実際には意図しない法的リスクを伴う可能性もあるため、個人のコレクションであっても注意が必要です。

原産地表示のルールと法律的背景

原産地表示に関しては「不正競争防止法」や「景品表示法」が関係します。これらの法律は、主に消費者を誤認させる表示行為や、企業間の不正競争を防ぐことを目的としています。

たとえば、商品の原産地について虚偽の表示を行った場合、たとえ営利目的でなくても「表示による誤認」の可能性があるとみなされると、処罰の対象になりかねません。特に、製品を人に譲った場合やSNS等で写真が拡散された場合には問題が生じる余地があります。

私的使用と営利目的の違い

法律上は、表示の変更が「業として」行われた場合に規制されるのが基本です。つまり、販売や流通を目的とした場合が主な対象です。しかし、私的使用であっても、第三者に誤認されるような状況を作ってしまえば、問題に発展する可能性があります。

たとえば、コレクションの展示会を開催したり、SNSにアップして「この国の製品だ」と紹介した場合、閲覧者が信じてしまえば、思わぬトラブルに発展する可能性があります。

実例から見るリスクと曖昧な境界線

実際に過去には、「偽ブランドの表示変更を行っただけで販売していない」ケースでも、「譲渡の意思あり」と解釈されて摘発された例があります。

また、収集品の一部に異なる原産地表示を施し、将来的にネットオークションなどで出品した場合、表示偽装として責任を問われるリスクもあると弁護士などが指摘しています。

シール貼付による誤解の余地と防止策

私的使用の範囲であっても、誤解を招くような変更やラベル貼付は控えることが賢明です。特に、「MADE IN JAPAN」や「MADE IN USA」など、信頼性の高い国を表示すると、虚偽表示と誤認されやすくなります。

防止策としては、

  • 原産地を変更するような表示を避ける
  • 元のラベルを剥がさない
  • コレクション内で明確に区別・説明をつける

などの対応が有効です。

まとめ:趣味であっても慎重な対応を

結論として、個人が趣味で輸入品に原産地の異なるシールを貼ること自体は、即座に違法になるわけではありません。しかし、それが第三者に誤認される可能性がある場合や、将来的に取引に発展した場合には、法的問題を引き起こすことがあります。

誤解を避けるためにも、元の表示を尊重し、表示の改変は極力避けることが安全です。趣味の範囲でも一定の法的意識を持つことが、不要なトラブルを回避する第一歩となります。

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