任意保険未加入の相手との物損事故は、交渉が難航しやすく、精神的にも時間的にも消耗するものです。特に交差点での接触事故など、過失割合に食い違いがある場合、示談が成立しないまま風化してしまうケースも少なくありません。そんな時に活用できる手段の一つが「少額訴訟」です。
少額訴訟とは?金額や手続きの基本を押さえよう
少額訴訟は、60万円以下の金銭トラブルに対して迅速に判断を下してもらえる制度で、1回の審理で判決が出ることが特徴です。地方裁判所ではなく、管轄の簡易裁判所で扱われます。
交通事故においても、物損の損害額が60万円以内である場合に利用可能で、本人が弁護士をつけずに訴訟を進めることができます。
後方からの追突でも“5:5”とされるワケと問題点
交差点での事故では、双方が「青信号」と主張する場合、過失割合が争点となります。ドライブレコーダーがない場合は証拠が乏しく、保険会社は5:5で提示するケースが多くなります。
しかし、後方からの接触であれば、一般的には追突側の過失が重く見られるため、事故状況を詳細に主張する余地が十分にあります。
任意保険未加入の相手には特に有効な手段
相手が任意保険に加入していない場合、直接本人と交渉するしかありません。しかし、誠意ある対応がない場合や、話し合いが平行線をたどるなら、少額訴訟で損害賠償を求めることが現実的な対応策となります。
訴訟を起こされた相手側には裁判所から通知が届き、出廷しなければ不利な判決が下る可能性があるため、交渉のテーブルに戻ってくる可能性も高くなります。
少額訴訟を始める手順と必要な準備
- 簡易裁判所に提出する訴状を作成
- 事故状況を説明する証拠(修理見積書、事故報告書、保険会社の資料など)
- 印紙代と郵券代の準備
費用は訴額に応じた収入印紙と郵送切手代のみで、1万円以下で済むことがほとんどです。
なお、裁判所の公式サイトからも、訴状の様式や提出方法の解説がありますので活用しましょう。
判決後、相手が支払わない場合の対応
少額訴訟で勝訴しても、相手が支払いを拒否するケースもあります。そういった場合には、強制執行(財産差押え)手続きを取ることが可能です。
相手の給与や預貯金口座が分かっていれば、それに対して執行を申し立てることができます。ただし、この段階では専門家(司法書士や弁護士)への相談を検討した方がスムーズに進められます。
まとめ:納得できない事故対応には法的手段を視野に
後方から追突されたにも関わらず、保険交渉が平行線をたどり、相手側が任意保険未加入で誠意も見せない場合、少額訴訟は費用対効果の高い手段です。
証拠が限られる中でも、自分の主張と状況説明を正確に行うことで、十分に勝訴の可能性はあります。泣き寝入りする前に、正しい手続きを踏んで、法的な手段に進むことを検討してみてください。