交通事故に遭った際、加害者・被害者の過失割合や保険加入の有無によって補償の内容が大きく変わります。特に被害者側が任意保険未加入の場合、補償面で不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、過失割合2(被害者):8(加害者)で被害者が任意保険に入っていないケースを想定して、車の修理費や治療費の支払われ方について詳しく解説します。
■ 任意保険未加入でも加害者の保険から補償されるのか
まず基本的に、被害者が任意保険に入っていなくても、加害者が対物賠償保険・対人賠償保険に加入していれば、その保険から損害の賠償を受けることができます。ただし、支払われる金額は過失割合を反映したものになる点に注意が必要です。
たとえば、修理費が50万円で過失割合が2:8であれば、加害者の保険会社から支払われる金額は50万円の80%=40万円が上限となります。残りの20%=10万円は、被害者自身の負担となります。
■ 車の修理費用はどこまで補償される?
車の修理費用は、加害者の対物賠償保険から支払われます。ただし、この支払いも先述のように過失割合を基準に計算されます。また、相手の保険会社が修理費の見積もりを確認し、妥当と判断された場合に限ります。
また、任意保険の「車両保険」に加入していれば自己負担をカバーできますが、未加入の場合は自費で負担するしかないため注意が必要です。
■ 怪我の治療費は加害者の対人保険でカバーされる
被害者が負ったケガに関しては、加害者の対人賠償保険が基本的に全額を補償します。ここには診察代・入院費・通院交通費・慰謝料なども含まれます。過失割合があっても、治療費は全額支払われることが一般的です。
ただし、重大な過失(たとえば信号無視や飲酒運転など)が被害者側にあった場合は、いわゆる「過失相殺」により減額されることもあるので注意が必要です。
■ 自賠責保険の役割と限界
任意保険に入っていなくても、法律で加入が義務付けられている自賠責保険があるため、治療費に関しては一定額までカバーされます。自賠責の限度額は、死亡で最大3000万円、後遺障害で最大4000万円、傷害では最大120万円です。
この限度を超える損害については、加害者の任意保険(対人賠償)によりカバーされる形となります。被害者が任意保険未加入であっても、自賠責+加害者の任意保険で、基本的な治療費は補償されるということになります。
■ 示談交渉での注意点とアドバイス
任意保険に加入していないと、保険会社による示談代行を受けられないため、すべての交渉を自分で行う必要があります。これには法的知識や交渉力が必要となるため、負担が大きくなります。
相手の保険会社が提示する金額が妥当かどうか判断できない場合は、交通事故専門の弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。また、法テラスなどの無料相談窓口も活用できます。
■ まとめ:任意保険未加入でも補償は受けられるが、注意が必要
任意保険に入っていない状態で交通事故の被害者になった場合でも、加害者側が保険に加入していれば基本的な補償は受けられます。ただし、自分の過失分については自己負担となり、また示談交渉をすべて自力で行う必要があるため、精神的・時間的負担は大きくなりがちです。
今後のリスクに備える意味でも、任意保険への加入を検討することを強くおすすめします。事故後の対応や補償の受け取り方に大きな差が出てくるため、安心して車に乗るためにも保険の見直しは非常に重要です。