相続手続きを専門家に依頼した場合、預金の払戻しや債務の清算、そして相続人への分配などが司法書士によって一括して処理されることがあります。その一方で、「分配額が思ったより少ない」「控除された内容が不明」と感じることもあるでしょう。この記事では、司法書士が関与する相続手続きの実務と、遺産分配における控除の考え方について詳しく解説します。
司法書士が行う相続手続きの基本業務
司法書士は主に不動産の名義変更や相続登記を専門としますが、近年では預貯金の払戻しや遺産分割に関するサポートも行うケースが増えています。依頼内容に応じて金融機関とのやり取り、遺産分割協議書の作成、相続人への分配手続きまで代行することもあります。
つまり、相続人が全員同意のうえ委任していれば、司法書士が債務・葬儀代の支払いも含めた資金の管理・分配まで行うことが可能なのです。
債務・葬儀費用は分配前に控除されるのが一般的
相続財産からの支出には、以下のような優先的な控除項目が存在します。
- 被相続人の債務(未払い金、医療費など)
- 葬儀費用(通夜・葬儀代、火葬料など)
- 相続手続きにかかる実費(郵送費、証明書代など)
- 専門家への報酬(司法書士報酬や税理士報酬)
このような支出は、あらかじめ各相続人の同意のもとで精算されることが多く、その残額を遺産分割協議書の内容に従って各相続人に分配します。
司法書士の報酬はどう扱われる?
司法書士に対する報酬は、委任契約の際に「誰が負担するか」「遺産から差し引くのか」などを明確にしておく必要があります。もし合意のうえで遺産から支払うと決めていれば、司法書士は各種費用を差し引いたうえで、残金を相続人へ分配することになります。
たとえば、「報酬は20万円(消費税込)」という契約であれば、その金額が相続財産から控除されていても不思議ではありません。
実際のケースと金額差の考察
質問内容から、ゆうちょ銀行の残高597万円のうち、債務22万円と葬儀代130万円の半額(65万円)を差し引いた残額が振り込まれている可能性が高いと考えられます。
もし、差額15万円程度が不明であれば、その部分が司法書士報酬か、その他実費(住民票取得費用、印紙代など)である可能性が高いです。委任契約書や見積書を見直すことで内訳を確認できます。
司法書士に確認すべきポイント
不明点がある場合は、遠慮せず司法書士に確認しましょう。以下の点を明確にしてもらうと安心です。
- 分配金の内訳(控除された項目とその金額)
- 司法書士報酬の金額と支払い方法
- 今後の払戻予定の金融資産(JA預金など)の処理予定
きちんと説明を受けておけば、相続人同士のトラブルも防ぎやすくなります。
まとめ:司法書士による相続分配の注意点
司法書士は遺産の分配にあたり、債務や葬儀費用、報酬などを適切に控除した上で、残額を相続人に分配することがあります。依頼者としては、あらかじめ契約書や見積もり内容を確認し、不明点があればしっかりと質問しておくことが大切です。
適切な手続きが取られていれば、多少の控除は必要経費と理解しつつ、安心して相続手続きを進めていきましょう。