SNSの予言投稿や犯行予告は逮捕される?7月5日の“予言”騒動をもとに法的観点から解説

2025年7月5日を巡るSNS上での“予言騒動”が注目を集めました。中には「何かが起こる」や「大事件がある」といった投稿が散見され、不安を煽るような内容もありました。これらが果たして“犯罪”に該当するのか、それとも法的には問題ないのか。この記事では、爆破予告や犯行予告と“予言投稿”の違いを比較しつつ、逮捕や処罰に至る可能性について法的に解説します。

予言のような投稿は基本的に表現の自由に含まれる

「○月○日に大事件が起きるかもしれない」や「この日には何かが起こる予感がする」といった漠然とした予言・予知的な投稿は、内容が具体的な危害や対象を示していない限り、刑事罰の対象になることは原則ありません

日本国憲法第21条の「表現の自由」の範囲内として保護される可能性が高く、曖昧な内容や個人に対する直接的な害意がなければ、違法性は問われにくいとされています。

一方で、爆破予告・殺人予告などは犯罪成立の可能性が高い

「○月○日に○○駅に爆弾を仕掛ける」「○○高校に包丁を持った男が現れる」などといった、具体的な日時・場所・方法・対象を示した投稿は、たとえ実行の意思がなくても、威力業務妨害罪(刑法第234条)や脅迫罪(第222条)が成立する可能性があります。

実際に爆発物がなかった場合でも、警察が出動したり施設が閉鎖された場合は、社会的コストや混乱を与えたとして立件されるケースが多数あります。

過去の事例:実際に逮捕された投稿とその特徴

  • 「○○駅に爆弾を仕掛けた」と書いた高校生が、威力業務妨害で逮捕(実際には爆発物なし)
  • 「○○学校に包丁を持った男が来る」と匿名で投稿→学校が臨時休校→投稿者が脅迫罪で検挙
  • 「芸能人を殺す」とX(旧Twitter)に投稿→対象者が被害届を出し脅迫罪成立

これらはいずれも“実行していない”にもかかわらず、社会的影響や本人の行動が処罰対象となった事例です。

「悪意はなかった」「冗談だった」は通用しない

「冗談のつもりだった」「ネタ投稿で本気じゃない」といった弁解も、刑法上は違法性を否定する根拠にはなりません。投稿内容が社会的混乱や恐怖を引き起こすようなものであれば、たとえ軽い気持ちでも犯罪が成立する可能性があります。

とくに未成年者の投稿でも処罰対象になる例が多数あり、注意が必要です。

SNS利用者が知っておくべき法律リスク

  • 威力業務妨害罪:業務を妨害する目的で“威力”を用いた場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 脅迫罪:人を畏怖させる目的で害悪を告知した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 偽計業務妨害罪:虚偽の風説などにより業務を妨害した場合も成立

いずれも投稿がデジタル証拠として残り、IPアドレスから特定されるため、匿名性に頼った投稿でも安心はできません。

まとめ:予言投稿と予告犯罪は法的にまったく別もの

今回のような「○月○日に何かが起こるかも」といった予言的投稿は、曖昧かつ抽象的な表現である限り、法的責任を問われることは基本的にありません。

しかし、明確に“危害の予告”として受け取れる内容を含む投稿は、たとえ冗談や実行の意思がなくても犯罪が成立する可能性が高い点に注意が必要です。

不安や混乱を生むような発言には責任が伴います。SNSの自由な発信と法的リスクを正しく理解し、冷静で誠実な情報発信を心がけましょう。

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