配偶者や子どもがいない単身者が亡くなった場合、その遺産が誰に相続されるのかは、法定相続人の構成によって大きく変わります。特に兄弟姉妹が既に亡くなっている場合、その子(甥・姪)が相続人になる可能性がありますが、兄の配偶者や養子縁組の有無など、複雑な事情が絡むことも。本記事では、兄の配偶者やその子どもとの関係性から、相続順位について丁寧に解説します。
法定相続の基本順位を確認
日本の民法では、法定相続人は次の順位で決まります。
- 第1順位:子ども(直系卑属)
- 第2順位:父母・祖父母(直系尊属)
- 第3順位:兄弟姉妹
配偶者がいれば常に相続人となりますが、未婚で子どもも親もすでに亡くなっている場合、第3順位である兄弟姉妹(またはその子)へと移行します。
兄がすでに他界している場合の相続
兄が既に亡くなっている場合でも、法的には「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」が適用され、兄の子ども(甥・姪)が代わりに相続人となることができます。
兄弟姉妹にあたる人が死亡していても、その直系の子が生存していれば、代襲相続の対象として扱われます。
兄の配偶者(義姉)は相続人にならない
相続人になれるのは、被相続人(亡くなった方)と血縁または法的親族関係にある者に限られます。したがって、兄の配偶者(義姉)は法定相続人ではありません。
遺言などで指定されていない限り、たとえ長年親交があっても、兄の配偶者には相続権は発生しません。
養子縁組された子も相続人となる
兄の子どもが養子であっても、法的には「嫡出子」として扱われるため、実子と同様に相続権があります。
そのため、被相続人の兄が亡くなっており、その子(養子1人+実子1人)が健在であれば、相続人はこの2人(甥と姪)となります。
実例:未婚で単身の方が亡くなったケース
68歳で未婚・子なし・両親も既に他界、兄が1人いたが既に鬼籍。兄の妻は生存中、兄の子は養子縁組された子と実子の2人。
→ この場合、法定相続人は兄の養子と実子の2名です。兄の配偶者(義姉)は法定相続人に該当しません。
相続割合はどうなるのか?
兄弟姉妹の代襲相続人(甥・姪)が複数いる場合は、通常、人数で等分されます。したがって、養子1人・実子1人の場合、それぞれ1/2ずつの相続となります。
養子と実子で相続の優先順位や割合に差はありません。いずれも法的に平等に扱われます。
まとめ
未婚・子なしの方が亡くなった場合、両親や兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば、その兄弟姉妹の子どもが代襲相続人となります。兄の配偶者には相続権はなく、兄の養子と実子が法定相続人となる点が重要です。
相続に関して不安がある場合は、あらかじめ遺言書を作成するか、司法書士・弁護士への相談もご検討ください。