刑事事件に関与した際、スマートフォンなどの電子機器が証拠品として警察に押収されることがあります。特に盗撮などの被疑事件では、スマホ内のデータが重要な証拠となるため、返却までに時間を要するケースが多いです。この記事では、スマホが押収された後の流れや返却されるまでの期間の目安、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
スマートフォンが押収される理由とは
刑事事件でスマホが押収されるのは、証拠保全の一環です。特に盗撮・わいせつ・詐欺・脅迫など、スマホを通じて犯罪行為が行われた疑いがある場合、本体や内部データの解析が必要になります。
写真・動画・SNSのやり取り・GPS履歴などが捜査対象となるため、捜査機関が必要と判断すれば、裁判所の令状に基づき長期間押収されることがあります。
返却されるまでの一般的な流れ
押収されたスマホが返却されるのは、主に次のいずれかのタイミングです。
- 捜査が完了し、証拠保全の必要がなくなったとき
- 不起訴処分または不起訴相当が決まったとき
- 裁判が終了し、刑が確定したとき(有罪・執行猶予含む)
いずれの場合でも、証拠としての必要性が完全に失われたと判断されるまで、原則としてスマホは返却されません。
返却までの期間の目安
事件の性質や余罪の数によって大きく異なりますが、以下が一般的な目安です。
- 軽微な事件・余罪なし:1〜3ヶ月で返却されることもある
- 余罪が複数ある場合:6ヶ月〜1年以上かかることもある
- 少年事件(18歳未満):家庭裁判所の送致や保護観察なども関与し、さらに長期化の可能性
また、盗撮などの性犯罪に該当するケースでは、被害者が複数いた場合にすべての被害を精査するため、返却までに時間がかかる傾向にあります。
返却を早めるためにできること
基本的に警察の捜査状況に左右されるため、当事者側で返却を早めることは困難ですが、以下のような対応は可能です。
- 弁護士を通じて捜査機関に返還請求を申し入れる
- 事件が終了したことを確認し、不要となった証拠品として返却申請を行う
ただし、捜査上まだ必要と判断されている間は、請求しても返却されないのが通常です。
スマホが返ってきたあとの注意点
返却されたスマホには、押収中に警察が複製したデータの痕跡や、ロック解除の痕跡が残っていることがあります。返却後は必ず初期化またはセキュリティの見直しを行いましょう。
また、仮に不起訴になった場合でも、スマホ内のデータが他の容疑で再度使用される可能性があるため、油断は禁物です。
まとめ:返却時期はケースごとに異なるが長期戦を覚悟すべき
刑事事件に関与してスマホが押収された場合、返却時期は事件の進行状況や余罪の有無に大きく左右されます。1ヶ月程度で返ってくることもあれば、1年以上かかることもあります。特に盗撮や性的加害行為が関係する場合、慎重な捜査が行われるため長期化しやすい点に注意が必要です。返却時期の見通しについて不安な場合は、弁護士を通じて情報を得るのが最も確実な方法です。