2024年から2025年にかけて話題となった「7月5日の予言」は、SNSを中心に拡散され、一部の人々や観光業界に混乱や不安を与えました。結局のところ何も起こらなかったことで、「予言者に損害賠償や刑事責任を問えるのでは?」という声もあがっています。本記事では、予言と法律の関係について詳しく解説します。
予言はそもそも違法なのか?表現の自由との関係
日本国憲法では、言論・表現の自由が保障されています。したがって、特定の宗教的または個人的信念に基づいた「予言」そのものが即違法となるわけではありません。
ただし、虚偽の情報によって社会に混乱を招いた場合や、特定の誰かに損害を与えた場合には、法的責任が問われる可能性が生じます。
民事訴訟としての損害賠償請求は可能か?
観光業者が「予言の影響で予約が大量にキャンセルされた」などの損害を受けたとして、予言を行った人物に損害賠償を請求するには、次の3つの要件を満たす必要があります。
- 予言者の行為が違法であること
- 損害が実際に発生していること
- その予言と損害との間に因果関係があること
しかし実際には、「予言」という行為が違法と明確に認定されることは非常に困難であるため、損害賠償の請求が認められる可能性は低いと言えます。
刑事罰は成立する?威力業務妨害罪などの可能性
刑法上では、虚偽情報の流布が「威力業務妨害罪」として扱われることがあります。たとえば、嘘の通報やフェイク情報によって企業や公共施設の業務が混乱すれば、罪に問われるケースもあります。
ただし「災害が起きる」といった漠然とした予言では、業務妨害とみなすだけの“威力”が認定されにくく、実際の立件には至らないケースが多いのが現状です。
過去の事例から見る法的対応の傾向
2000年代以降、インターネット上で「○月○日に地震が起きる」などの予言的投稿は繰り返されていますが、それが原因で刑事責任を問われた事例はほとんどありません。
一方で、明確な虚偽を使って勧誘を行った霊感商法や詐欺的ビジネスでは、損害賠償や逮捕に至った事例も存在します。つまり、商業的・詐欺的な要素が強い場合には、法的措置がとられる可能性が高まるのです。
現実的な対策と情報リテラシーの重要性
法的な措置を取るのが難しい中、私たちができる現実的な対策は「情報リテラシーを高めること」です。予言や噂に過度に反応せず、信頼できる情報源から冷静に判断する姿勢が求められます。
また、SNSでの過度なシェアや拡散も、デマの温床となることがあるため、個人の責任意識も重要です。
まとめ:予言に法的責任を問うのは困難だが、社会的な教訓は大きい
予言による損害が発生したとしても、それに対して直接的な法的責任を問うことは難しいのが現状です。刑事罰や損害賠償に至るには多くのハードルがあるため、予言を鵜呑みにしない冷静な対応が最も重要です。
今後も類似のケースが発生する可能性があるからこそ、予言・噂への向き合い方や社会の情報リテラシーを高めることが、何よりの再発防止策となるでしょう。