離婚や別居後、面会交流がうまくいかないケースは少なくありません。特に、子どもの予定が詰まっていて会えなかったり、一方の親が交流に否定的な場合、もう一方の親は子どもの成長を知る機会すら失ってしまうこともあります。この記事では、そうした状況で家庭裁判所がどのように対応するのか、また親としてどのような対応ができるのかを詳しく解説します。
家庭裁判所は写真の送付などを命令できるのか?
家庭裁判所は、面会交流の実施が難しい場合でも、写真や成績表など子どもの近況が分かる情報を提供するよう命じることがあります。これは「間接交流」と呼ばれ、実際の面会が困難な際に有効な手段です。
たとえば、判決や調停条項で「月に1度、学校行事や日常の写真を送付すること」といった内容が盛り込まれるケースがあります。ただし、写真の送付を拒む保護者に対して強制執行は難しく、あくまで子の福祉を最優先とする家庭裁判所の判断に左右されます。
子どもが写真送付を嫌がる場合の対応
実際には、子ども自身が写真の送付を嫌がるケースもありますが、それが本心なのか、同居親の影響なのかは見極めが必要です。子どもが嫌がっているという理由で写真提供を拒否する親に対しては、家庭裁判所がその正当性を慎重に判断します。
過去の事例では、同居親の過剰な干渉や誘導が認められたケースでは、裁判所が情報提供の再開を命じたこともあります。家庭裁判所における調査官の面談なども活用され、子どもの本音を把握するための取り組みが行われます。
プレゼントや私物を拒否されるケースと法的対応
別居親が用意したプレゼントや衣服を、同居親が「受け取らせない」「着させない」といった対応をすることがあります。これは子どもにとって、親の愛情を拒否されているように感じる可能性もあり、心の成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。
このような対応に対しては、面会交流の妨害や親権の濫用として、家庭裁判所に申し立てが可能です。ただし、証拠が重要になるため、やり取りの記録や証言などを用意しておくことが大切です。
調停を再度申し立てるべきか?
以前に調停が不調に終わった場合でも、状況が変わっていれば再度申し立てる意義があります。特に、子どもの年齢が上がり、意思表示が可能になっている場合や、同居親の対応に問題があると感じる場合には、有効な手段となります。
調停を申し立てる際には、過去の経緯を整理し、求める条件(例えば、月1回の写真提供やプレゼントの受け取りなど)を明確にすることで、家庭裁判所も判断を下しやすくなります。
実例:写真提供の義務が認められたケース
ある事例では、小学生の子どもと面会できなかった父親が、調停を通じて毎月写真と学校からの連絡物(成績表やお便り)を送付する取り決めを成立させました。この際、家庭裁判所は「子の福祉の観点から、非監護親にも成長を知る機会を保障すべき」と判断しました。
このような取り決めがなされた後、父親は子どもの近況を把握できるようになり、さらに数年後には面会の再開にもつながったという報告もあります。
まとめ:子どもの福祉を最優先に考えた対応を
面会交流が難しい状況でも、写真や文書による間接的な交流手段が認められることがあります。同居親の対応に不安がある場合は、記録を取りつつ家庭裁判所への申し立てを検討しましょう。
何よりも重要なのは、親の対立ではなく子どもの福祉を第一に考えることです。適切な法的対応と専門家の助言を受けながら、少しずつ関係修復を目指していくことが望まれます。