職場で車を使用する機会がある方にとって、万が一の事故対応は非常に気になるテーマです。特に「会社で借りている車(代車)での事故」の際、自腹なのか保険が効くのか、また警察対応の有無など、判断が分かれる場面も多く見られます。今回は、よくある代車トラブルを踏まえつつ、正しい対応と知っておくべき基礎知識を解説します。
会社の代車は保険に入っているのが一般的?
多くの企業は、社有車や代車に対して自動車保険(任意保険)に加入しています。任意保険には車両保険や対物・対人補償が含まれているため、事故の損害は基本的に保険でカバーされるはずです。
しかし、契約内容によっては「免責金額(自己負担)」が設定されていたり、自損事故は対象外であるケースもあります。会社がそれを理由に「自腹かもね」と言う場合、保険の適用範囲外である可能性があります。
社員が事故を起こしたら全額自腹になることはある?
原則として、社員が業務中に起こした事故については使用者責任(民法715条)により、会社側が責任を負うことが多いです。
ただし、以下のようなケースでは一部もしくは全額弁償を求められることがあります。
- 重大な過失(飲酒運転・スマホ運転など)
- 故意による事故
- 就業規則や社内規定で「損害発生時の一部負担」が明記されている
「自腹で全額負担」は法的にはグレーな部分もあるため、納得できない場合は内容を確認したうえで労働相談窓口などに相談することも可能です。
なぜ警察を呼ばなかったのか?対応として問題は?
道路交通法上、たとえ物損のみの事故であっても事故の報告義務(第72条)があります。電柱などの公共物との接触であれば、警察への届け出は必須です。
報告しないまま処理した場合、後から問題になることもあるため、事故が発生した場合はまず警察に連絡し、事故証明を取得するのが基本です。
今回のケースで警察に連絡がなかったとすれば、上司の判断で処理を簡略化した可能性があり、正式な事故処理がされていないという点でリスクがあります。
事故時に社員が取るべき対応ステップ
万が一、代車や社有車で事故を起こしてしまった場合、次のステップで動くことが重要です。
- 安全を確保し、負傷者がいる場合は救急要請
- すぐに警察へ連絡し事故届を出す
- 現場写真を撮影し、事故状況の記録を残す
- 会社へ正確に報告し、保険の有無や社内規定の確認
- 書面で示談や負担の内容がある場合は、必ず内容を確認する
事故後の対応によって、保険適用や会社とのトラブル回避に繋がることも多くあります。
社用車事故に関するトラブル相談先
会社の対応に納得できない、自腹を強く求められたなどの場合は、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や国民生活センターへの相談が有効です。
また、法的トラブルに発展しそうな場合は、初回無料の法律相談を利用することもおすすめです。
まとめ:会社の代車事故は「対応次第」で大きな差が出る
代車での事故は誰にでも起こり得ます。重要なのは、保険の有無を確認すること、会社の規定を知ること、そして事故時の正しい対応をとることです。
理不尽な「自腹対応」を避けるためにも、事前にルールを確認し、万が一の時には冷静に証拠を残し、必要に応じて相談機関の力も借りましょう。