近年、SNSやLINEを通じた副業詐欺が急増しており、特にPayPayなどの送金サービスを利用した手口が巧妙化しています。この記事では、そうした詐欺に遭ってしまった場合に取れる法的手段や相談窓口、そして少しでも被害を軽減するために考えられる対応策を具体的に解説します。
PayPay送金詐欺の特徴とよくある手口
PayPayを使った副業詐欺では、「高収入保証」「簡単に稼げる」などと誘い、LINEなどでやり取りの上で、PayPayで送金をさせるというケースが増えています。送金後、相手と連絡が取れなくなるか、「追加料金が必要」と言われてさらに被害が拡大する例も多発しています。
今回のように、クレジットチャージによる送金を行った場合でも、PayPay側では「自発的に送金した」扱いになるため補償対象外とされるのが現実です。
支払い停止の抗弁書とは?どう送るべきか
クレジットカードでPayPayにチャージした場合、その支払いに関しては割賦販売法に基づき「支払い停止の抗弁権」を行使できる可能性があります。
抗弁書をカード会社(今回はPayPayカード)に提出することで、一時的に請求の停止を求めることができます。ただし、成功するかどうかはカード会社の判断や送金の経緯次第であるため、状況証拠ややり取りの履歴の保存が極めて重要です。
警察が動かない?被害届ではなく「情報提供」も手段の一つ
被害額が高くても、個人間送金である場合や相手の特定が難しいケースでは警察が積極的に動かないことがあります。しかし、だからといって諦める必要はありません。
「サイバー犯罪相談窓口」や「都道府県警の詐欺専用ホットライン」などに情報提供を行えば、他の被害者と情報が繋がる可能性もあり、立件に繋がるケースもあります。
弁護士費用が高くて動けない場合の相談先
弁護士に依頼するにはコストがかかりますが、消費生活センターや日本クレジット協会といった第三者機関を活用することで無料でアドバイスを受けられます。
また、弁護士費用保険や法テラスによる無料法律相談などを活用すれば、一定条件下で費用負担を軽減することも可能です。
PayPay・LINE・運営業者に対する対応はどうすれば?
PayPayやLINE社に直接的な法的責任を問うのは難しいのが現状です。利用規約では「ユーザー間のトラブルには関与しない」と明記されている場合が多く、ユーザー自身の責任として扱われてしまいます。
ただし、悪質なアカウントの情報提供を行うことでアカウントの凍結・削除につながり、今後の被害拡大を防ぐ効果は期待できます。
泣き寝入りを避けるためにできる具体的アクション
- PayPayカードへの支払い停止の抗弁手続きを粘り強く継続する
- やり取りの履歴を時系列で整理して保存する
- 詐欺の詳細を第三者機関に「情報提供」する
- 同様の被害にあった人との情報共有を目的にSNSや掲示板を活用
- 返金が難しい場合でも、「迷惑行為の防止措置請求」などを法的に検討
何もしないことが、結果的に詐欺グループを助長してしまうことになります。
まとめ:取り戻せる可能性はゼロではない。諦めずに手続きを
今回のように、PayPayを使った送金による副業詐欺では、補償の対象外であることが多い一方で、支払い停止の抗弁や消費者相談窓口への相談など、まだ取り得る手段は複数あります。
諦める前に、少しでも状況を整理し、被害を公的機関に届け出て記録を残すことで、後の回復や加害者の摘発に繋がる可能性もあります。
たとえ返金が難しくとも、自分の情報と経験が他の被害者を守る第一歩になることを忘れずに行動しましょう。