債務整理を依頼したものの、遠方の法律事務所では継続的な相談が難しいと感じる方も少なくありません。こうした場合、近隣の事務所に変更したいと思っても、すでに支払った費用がどうなるのかは大きな不安要素です。この記事では、債務整理の依頼先を変更する際の費用返金の可能性や注意点をわかりやすく解説します。
債務整理の依頼先は変更できるのか?
債務整理の依頼先となる弁護士や司法書士は、基本的に自由に選び直すことができます。契約内容に特別な定めがなければ、途中で別の事務所に乗り換えることも可能です。ただし、すでに進行中の業務や発生している実費がある場合、それに対する精算義務は残ります。
契約書に「キャンセル時の対応」や「返金条件」が明記されていることが多いため、まずは契約書の確認が重要です。
支払済みの費用は返金されるのか?
費用の返金が可能かどうかは、「支払った金額の性質」によって異なります。以下のように分類できます。
- 着手金:業務開始の対価。通常は返金されません。
- 成功報酬:案件終了後に支払うもので、未発生なら返金対象です。
- 実費:切手代・書類取得費など、実際に支払われた費用。返金対象外です。
したがって、着手金を全額支払済みで、まだ具体的な手続きが進行していない場合は、一部返金の可能性もあります。返金交渉の際には、「業務進捗状況」が重要な判断材料になります。
返金交渉の流れとポイント
返金を求める際は、まず電話やメールで事務所に相談し、その後に文書で正式な申し入れを行うのが一般的です。以下の手順を参考にしてください。
- 契約内容の確認(特に返金条項)
- 依頼中止の意思表明
- 未対応の業務があるか確認
- 返金額の計算と交渉
- 必要に応じて書面による通知(内容証明郵便など)
トラブルを避けるためにも、やり取りはなるべく記録として残すよう心がけましょう。
弁護士の倫理規程と対応義務
日本弁護士連合会の「弁護士職務基本規程」では、弁護士は依頼者の利益を最優先に考え、誠実に対応する義務があります。また、解約時にも「不当に返金を拒否してはならない」といった姿勢が求められています。
とはいえ、明確なガイドラインがあるわけではないため、実際には「交渉」による解決が中心となります。対応が不誠実だと感じる場合には、弁護士会の相談窓口や法テラスへの相談も検討しましょう。
返金された事例と返金されなかった事例の比較
返金されたケース:着手金を支払った直後にやむを得ず引越し、相談以外の業務が未着手だったため、事務所が一部返金に応じた。
返金されなかったケース:契約後にすでに債権者との交渉が始まっており、報告書も提出されていたため、着手金・実費の返金は認められなかった。
このように、「業務の進捗状況」×「契約内容」がカギになります。
まとめ:依頼先変更は慎重に、返金交渉には根拠をもって
債務整理の依頼先を変更することは可能ですが、すでに支払った費用が全額返金されるかどうかは、契約内容と業務の進行具合に大きく左右されます。
スムーズに対応してもらうためにも、まずは冷静に契約書を確認し、適切なステップを踏んで交渉しましょう。対応に納得できない場合には、弁護士会や第三者機関への相談も視野に入れると安心です。