交通事故に遭った際に支払われる自賠責保険の慰謝料は、計算方法や対象となる治療日数によって金額が大きく変わります。中でも「実治療日数」という概念は、多くの方にとってわかりづらいものです。本記事では、慰謝料算定に使われる「実治療日数」とは何か、初診・検査・結果説明などが含まれるかどうかについて詳しく解説します。
自賠責保険の慰謝料計算の基本
自賠責保険での慰謝料は、原則として1日あたり4,300円(※2020年4月以降の基準)で計算されます。算定式は「通院日数×2」と「治療期間(日数)」を比較し、少ない方に4,300円を掛けて算出されます。
この「通院日数」は、保険上「実治療日数」とも呼ばれ、単純に治療を受けた日をカウントするものです。治療を受けていない日は対象外になることが多く、ここが誤解されやすいポイントです。
実治療日数に含まれる通院日の判断基準
一般的には、以下のような日が「実治療日数」に含まれるとされます。
- 診察(初診・再診)を受けた日
- 治療(リハビリ、投薬、物理療法など)を行った日
- 症状に対して必要と認められた検査(MRI、CT等)を受けた日
一方、以下のような日は保険会社によっては含まれない可能性があります。
- 検査結果を聞くだけの日(治療行為がなかった場合)
- 診断書をもらうだけの来院
- 経過観察のみで治療が伴わない場合
ただし、例外もあり、症状固定の判断や診療の一環として認められるケースもあります。そのため、通院の目的や内容については診療報酬明細書などで裏付けがあると有利になります。
医師の診断と診療明細が重要な理由
実治療日数にカウントされるかどうかは、最終的には保険会社の判断に委ねられます。その際の判断材料になるのが「診療明細書」や「通院証明書」であり、そこで実際にどのような医療行為が行われたかが記載されているかがカギとなります。
たとえば、MRI検査やレントゲン検査が診療の一環として行われ、医師の判断で必要とされたものであれば、通院日として認められる可能性が高まります。
通院の記録は丁寧に残しておこう
自賠責保険の請求時には、通院歴を正確に記録しておくことが大切です。領収書や診察券の記録、診療報酬明細書などの保存はもちろん、医師に対しても「今日は診療が記録に残る内容か」を確認しておくと安心です。
また、保険会社とやり取りする際には、感情的にならずに、冷静に記録をもとに主張を立てることが円満な解決につながります。
まとめ:実治療日数には「医療行為の有無」がカギ
自賠責保険の慰謝料計算における「実治療日数」とは、実際に治療行為や医学的判断を伴う検査が行われた日を指します。初診やMRI検査は基本的に含まれることが多いですが、検査結果説明だけの日などは除外される可能性があります。
正しい慰謝料を受け取るためには、診療の記録を丁寧に保管し、必要に応じて医師に確認しながら手続きを進めましょう。