交通事故の被害にあい、過失0の場合、損害賠償や慰謝料の請求が可能ですが、その中で「整形外科のみの通院」と「整形外科+整骨院の併用」で何が変わるのか、特に慰謝料との関係で悩む方は多くいます。この記事では、両者の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて、具体的な視点でわかりやすく解説します。
整形外科と整骨院の基本的な違い
まず、整形外科は医師が診療を行う医療機関で、診断書の発行や画像診断(レントゲン・MRIなど)による客観的証拠の提示が可能です。
一方で整骨院(接骨院)は柔道整復師が施術を行う施設で、医学的な診断は行えません。保険会社によっては整骨院の施術を「医療行為」と認めず、慰謝料の計算対象から除外されることもあります。
整形外科のみの通院によるメリット
整形外科だけに通院する最大のメリットは、医師による正式な診断書が取得でき、症状固定や後遺障害認定にも有利に働く点です。また、通院履歴の信頼性が高く、保険会社とのトラブルも少ない傾向にあります。
さらに、医師の判断に基づく治療計画があるため、無駄な治療を避け、後遺症を残さないことにもつながります。
整形外科と整骨院を併用するメリットと注意点
整骨院を併用するメリットは、通院回数を増やしやすくなることです。交通事故の慰謝料は「通院日数」や「通院期間」に応じて増加するため、通いやすい整骨院での施術を挟むことで結果的に慰謝料が高額になる可能性があります。
ただし、保険会社によっては整骨院での通院日数をカウント対象にしないこともあるため、事前に保険会社へ確認することが重要です。
慰謝料の計算と通院形態の関係
一般的に慰謝料は以下のように計算されます。
計算方法 | 内容 |
---|---|
自賠責基準 | 通院日数×4,300円(2020年以降) |
任意保険基準 | 自賠責とほぼ同等またはやや上 |
弁護士基準 | 通院月ごとに約28万円(重症度による) |
通院回数が多くなることで慰謝料が増額する可能性はありますが、それが必ずしも“有利”とは限りません。医師の指示のない無理な通院は「不当な通院」として慰謝料減額の対象にもなり得ます。
実例:整形外科のみで通院したケース
ある40代男性が交通事故後に整形外科のみに通院。通院頻度は週2〜3回、約3ヶ月の通院で、慰謝料は自賠責基準で約20万円、実際の支払いは任意保険基準で25万円でした。
整骨院併用で通院日数が倍になっていれば慰謝料は増えたかもしれませんが、医師の診断を重視した治療が早期回復につながり、保険会社とのトラブルも回避できたというメリットがありました。
整骨院を利用する前にチェックすべきポイント
- 保険会社が整骨院通院をカウントするかどうか
- 医師の同意があるか(紹介状や指示書があるか)
- 整骨院での施術が適切な範囲で行われているか
これらをクリアしていないと、慰謝料の増額どころか、通院そのものが認められず、費用を自己負担するリスクもあります。
まとめ:整形外科のみ通院でも損をしないための考え方
慰謝料だけにとらわれず、治療の信頼性・継続性・将来の後遺症リスクを重視するなら、整形外科のみの通院は大きなメリットがあります。慰謝料の増額を狙うなら整骨院併用も選択肢ですが、事前の確認と記録管理が必須です。
最終的には、体の状態と相談しながら、医師の判断を基に適切な通院スタイルを選びましょう。