交通事故の加害者となった場合、たとえ軽傷であってもその後の責任や処分が気になるものです。特に「居眠り運転」など重大な過失が原因の場合、保険で済むのか、あるいは刑事処分まで及ぶのかはケースによって異なります。本記事では、追突事故で相手に全治2週間の怪我を負わせ、車を大破させたケースを例に、加害者側の法的責任や対応について詳しく解説します。
まず重要なのは「過失の程度」と「被害の大きさ」
事故後の法的対応は、事故の内容によって大きく左右されます。軽微な物損事故と人身事故では扱いが異なり、また、加害者に悪質性があるかどうかも判断材料となります。
今回のように「居眠り運転」による「全治2週間の怪我」がある場合、過失運転致傷罪(刑法第211条)に該当する可能性があります。これは被害者が軽傷でも、人身事故扱いとなる以上、捜査対象となる可能性が高いです。
逮捕の可能性はあるのか?
事故直後に逮捕されるケースは、主に以下のような条件があるときです。
- ひき逃げ
- 飲酒・薬物運転
- 悪質な運転(暴走・危険運転など)
本件では「居眠り運転」としても、事故後に適切な通報・報告・謝罪を行っていれば、現場での逮捕に至る可能性は低いと考えられます。ただし、後日書類送検されることは十分にあり得ます。
書類送検・起訴されるかどうかの判断基準
書類送検後、検察が「起訴」するかどうかを判断します。起訴されるか否かは以下の要素に左右されます。
- 被害者の怪我の程度
- 加害者の反省態度と謝罪の有無
- 示談成立の有無
- 前科・前歴の有無
全治2週間であれば、不起訴(起訴猶予)になるケースも多く、特に示談が成立していればその可能性は高くなります。
損害賠償は保険でカバーされる
損害賠償に関しては、任意保険(対人・対物)が適用されれば、加害者が直接賠償金を支払う必要は基本的にありません。保険会社が対応し、治療費や修理費、慰謝料もカバーされるのが一般的です。
ただし、「免責金額」がある契約内容の場合や、保険の範囲を超える部分については個人の負担が発生する場合もあるため、保険内容を事前に確認しておくことが重要です。
行政処分の可能性も忘れずに
刑事処分とは別に、運転免許に関する行政処分(点数の加算や免停・取消)が科される可能性があります。全治15日未満の軽傷であっても、人身事故として扱われれば、通常6点以上が加算され免許停止の対象になります。
また、違反内容が「安全運転義務違反」や「過失運転致傷」になると、違反点数が加重される可能性があります。
実例:同様の事故で不起訴となったケース
実際に、居眠り運転による追突で被害者がむち打ち症と診断されたケースでは、加害者が即座に謝罪し、保険で示談が成立したことで、書類送検はされたものの不起訴処分となった事例があります。
ただし、過去に類似事故を起こしていた場合や、被害者が高齢・通院長期などで重症化した場合には起訴されるケースも見られます。
まとめ:加害者側でも早期対応が今後を左右する
居眠り運転による事故でも、対応次第で刑事処分を回避できる可能性はあります。被害者に誠実な対応をし、保険会社と連携して示談を成立させることで、処罰の軽減や不起訴につながる場合もあります。事故後はすぐに専門家や保険会社へ相談し、記録を正確に残しておくことが今後の鍵となります。