赤ちゃんにエンバーミング(遺体防腐処置)を施した後、ベビーカーでお散歩をしたというエピソードは驚きですが、公衆衛生・法的にはどのような位置づけなのでしょうか。本記事では、遺体の外出・移送に関する日本の法規制から、安心・安全に関する要件を解説します。
エンバーミングとは何か?
エンバーミングは専門家(エンバーマー)が遺体に防腐・消毒・修復処置を施す技術で、公衆衛生的に安全な状態に保つものです。遺族が安心して向き合うための心理ケアの役割も持ち、国内で普及しています:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
日本では法令上の明文化はなく、自主基準に従った処置が原則です(IFSAなど):contentReference[oaicite:1]{index=1}。
遺体の屋外持ち出しに法律はある?
刑法190条の死体損壊罪は「遺体を損壊・侮辱」する行為が対象であり、防腐処置された衛生的な状態でなら違法とは言えません:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
公衆衛生法上も、感染の恐れがない限り、屋外の移動・散歩自体に禁止規定はありません。ただし、自治体による条例などがあるかは確認が必要です。
国際搬送での規定と共通点
海外から日本へ遺体を空輸する場合、エンバーミング証明書や密封棺が必須です。これは遺体を不衛生でない状態に保つための要件で、屋外・公共空間での移動と本質的に近い行政判断が存在します:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
搬送中の遺体の感染リスク低減・周囲への影響防止が目的なので、赤ちゃんお散歩のケースも同じような理屈で問題視されません。
具体例:認められるケースと注意点
たとえば、遺族が故人を「見送りの一環」として棺ごと家の中や庭に移動・安置するのは、現に行われている行為です。エンバーミング後の遺体であればさらに衛生安全性が高まります。
一方、街頭でベビーカーに乗せて移動、写真撮影など目立つ行為をする場合、モラルや他者の感情への配慮は必要です。許可の要否は場所・時間帯・通行人など具体状況次第です。
自治体・施設のルールにも注意
公園や商業施設など私有地・公共空間で「遺体の抱っこや散歩」を行うには、条例・施設規約に違反しないか必ず確認しましょう。個別対応が必要なこともあります。
また、小児向けエンバーミングは稀で、取り扱える業者・施設も限られるため、衛生管理や責任体制をあらかじめチェックすることが大切です:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
まとめ:法的にはOK、公衆衛生と配慮がカギ
・エンバーミング後であれば、遺体の外出自体は刑法・公衆衛生上に違反しません。
・ただし、公園や路上などでの行為は条例・施設規則、周囲への配慮を要します。
・赤ちゃんのベビーカー例も、公衆衛生的には問題なく、むしろ遺族の想いとして尊重される事例と言えます。
公共空間で行う際は「衛生面の安全性」「周囲の感情」「ルール遵守」をしっかり確認・配慮すれば、法的には問題ありません。