突然、自宅に車が突っ込んできた。しかも運転していたのは高齢者で無保険だった——。実際に起こり得るこのような事例に、被害者としてどう対処すべきか。この記事では、無保険車による物損事故での対処法や法的な保護手段、リスクへの備え方について詳しく解説します。
まず確認すべきこと:加害者の責任能力と支払い意思
まず重要なのは、加害者が修理費用を「支払う意思」を持っているかどうかです。支払う姿勢があれば、示談書を取り交わして証拠を残すことが大切です。後になって「言った言わない」のトラブルを防げます。
特に高額な修理費(100万円以上)が予想される場合は、公正証書で支払約束を書面化しておくと、支払いが滞った際に裁判所を通さずに差し押さえを行える法的効力があります。
相手が任意保険未加入の場合の補償手段
任意保険が未加入の場合、自動車保険会社からの物損補償は受けられません。しかし、自賠責保険も物損には適用されないため、加害者本人への請求が基本となります。
被害者側が自身の火災保険や住宅総合保険に加入している場合、「飛来・衝突等による損害」の特約で補償される可能性があります。加入している保険会社へ早めに相談しましょう。
自己破産されたら支払いはどうなるのか?
加害者が支払い能力に乏しく、最悪の場合「自己破産」を選んだらどうなるのでしょうか?実は自己破産が認められると、多くの債務は免責されます。つまり、支払義務がなくなり、被害者が泣き寝入りになる可能性があります。
ただし、悪意による損害や重大な過失と認定された場合は、破産しても免責されないこともあります(破産法253条)。そのためには、事故の経緯や加害者の運転状態などが重要な証拠となります。
民事訴訟・少額訴訟という選択肢
相手が修理費を支払わない場合、民事訴訟を起こすことも可能です。60万円以下の請求なら少額訴訟制度を利用でき、比較的スムーズに判決を得ることができます。
ただし訴訟で勝っても、加害者に資力がない場合は実際にお金を回収できないことも多いため、支払い能力の見極めも大切です。
専門家への相談が早期解決への鍵
このような事故では、法的判断や交渉のハードルが高いため、弁護士や法テラスに相談するのが賢明です。初回相談は無料の場合も多く、状況を整理し、法的な選択肢を明確にしてくれます。
また、必要であれば損害賠償請求訴訟の提起、差押手続きなども検討可能です。
まとめ:泣き寝入りしないためにすべきこと
無保険の高齢者ドライバーによる物損事故は非常に困難なケースですが、冷静に証拠を集め、示談や法的手段を適切に講じることで泣き寝入りを避ける道があります。
ポイントは次のとおりです。
- 支払意思のあるうちに示談書や公正証書を交わす
- 住宅保険で補償対象になるか確認する
- 相手が破産しても免責されない可能性もある
- 困ったら弁護士・法テラスへの相談を
被害者の権利を守るため、早めの対応と情報収集がなにより大切です。