駐車場で隣の車からドアパンチを受け、新車に傷や凹みが…「ショックでたまらない」「慰謝料も請求したい」と思う方に向けて、法的な損害賠償の範囲や手続き・心構えを整理します。
ドアパンチは“物損事故”である
ドアパンチは物的損害のみを対象とした物損事故に分類され、原則として慰謝料(精神的損害の賠償)は認められません:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
つまり、「精神的に傷ついた」としても慰謝料は法律上の請求対象外です。
修理費用や代車費用は請求できる
壊された車の修理費用は、損害賠償の対象になります。相手が任意保険に入っていれば、保険を通じて支払われます:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
傷の軽い例でも修理費用はおよそ2万〜4万円程度が相場です:contentReference[oaicite:2]{index=2}。また、修理期間中に発生する代車費用や、評価損(修理後も価値が下がる分)も請求可能です:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
慰謝料は基本的に認められない
被害者の精神的苦痛を金銭で埋める慰謝料は、原則として
・人身事故(ケガや死傷)でのみ認められます。
・物損事故では対象とはなりません:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
例外的に、被害が精神的苦痛ではなく物理的あるいは全損に及ぶケースに限られますが、一般的なドアパンチでは該当しません。
納車直後・プレミアム車でも補償範囲は変わらない
新車や受注生産の高級車であっても、慰謝料が認められる根拠にはなりません。
しかしながら、修理後の評価損については保険会社・加害者との交渉材料になります。価値の下がり方を見積書等で明確にすることで補償範囲が広がる可能性があります。
コーティング再施工費用も請求可能?
コーティングを再施工する費用も、修理の一環として請求できる可能性があります。修理によって既存コーティングに差が生じるため、全体再施工を要する場合は〈修理関連費用〉として認められることがあります。
ただし、保険会社の見解や約款によって判断が分かれるため、まずは見積書や証拠を準備して交渉するのが現実的です。
弁護士費用特約と専門家の活用
ドアパンチ事故でも、保険に付帯する弁護士費用特約を活用すれば、自己負担なく示談交渉が可能です:contentReference[oaicite:5]{index=5}。
弁護士を介すことで、慰謝料請求の正当性やコーティング費用などの妥当性をしっかりと主張できます。
実務的対応の流れ
- ①まずは警察・保険会社に連絡し、事故記録を残す(ドライブレコーダー・写真なども有効)
- ②修理見積・代車代・評価損・再コーティング費用を準備
- ③保険会社・相手方と示談交渉。弁護士費用特約があるなら弁護士介入を検討
- ④納得いく補償が得られなければ、内容証明や調停など法的手段を検討
まとめ
ドアパンチによる塗装傷・凹みは物損事故であり慰謝料は原則請求できません。
しかし修理費・代車費・評価損・再コーティング費などは適切な証拠と見積書のもと請求可能です。弁護士費用特約を活用して、冷静かつ論理的に示談交渉へ臨みましょう。