自転車は車両としての側面を持ちながら、歩道を通行する場面も多く、事故が起きた際の責任の所在がわかりにくいことがあります。特に、歩道内での自転車同士の正面衝突において、どちらにどの程度の過失があるかという問題は重要です。この記事では、歩道での自転車同士の衝突と過失割合について解説します。
自転車の基本的な通行ルールとは?
道路交通法上、自転車は「軽車両」に分類され、原則として車道の左側通行が義務付けられています。ただし、歩道に「自転車通行可」の標識がある場合や13歳未満・70歳以上・身体に障害のある人など一定の条件では歩道の通行が許可されています。
歩道を通行する際も、「車道寄りを徐行」し、歩行者の通行を妨げてはならないというルールがあります。逆走は禁止であり、進行方向に従って走行することが原則です。
歩道内での自転車正面衝突はどう判断される?
歩道内での自転車同士の正面衝突において、どちらかが「逆走」していた場合、その行為自体が重大な過失とされることが多いです。法律上は明文化されていないものの、判例や事故処理においては、ルールを逸脱していた側に高い過失割合が認定される傾向があります。
例えば、片側に自転車通行帯がある歩道で、逆方向から走っていた自転車が衝突事故を起こした場合、その逆走側に60~80%程度の過失が認定される可能性があります。
歩道内での過失割合の参考基準
保険会社の損害賠償交渉などで用いられる「過失割合」は裁判所が公表する具体的な基準はありませんが、参考となる数値としては以下のような例が考えられます。
状況 | 逆走側の過失 | 左側通行側の過失 |
---|---|---|
明確な逆走(標識に反している) | 80% | 20% |
どちらもスピード超過 | 60% | 40% |
見通しの悪い場所での出会い頭 | 50% | 50% |
ただし、これらはあくまで一例であり、事故の具体的な状況や証言、防犯カメラの映像などにより最終的な判断が下されます。
逆走していた場合の責任と法的リスク
自転車での逆走は道路交通法違反であり、事故を引き起こした場合、民事上の損害賠償責任だけでなく、刑事責任(過失傷害など)を問われる可能性もあります。
また、自転車保険に加入している場合でも、重過失があるとみなされた場合は保険の適用範囲が限定される可能性もあるため、逆走は絶対に避けるべきです。
事故の証明と適切な対応方法
万が一事故が発生した場合は、警察を必ず呼び、現場検証を行ってもらいましょう。事故証明書がないと損害賠償請求や保険手続きが困難になります。
また、目撃者がいれば連絡先を確保し、スマートフォンで事故現場や相手の自転車の状態、標識などを撮影しておくことも後々の証拠として有効です。
まとめ:歩道内の自転車走行にも厳密なルールがある
歩道内での自転車同士の衝突でも、明確な通行ルールが存在します。逆走は重大な過失とみなされ、過失割合が高くなる傾向にあります。安全に通行するためには、自転車も「歩道だから大丈夫」という安易な意識を改め、車両としての自覚を持つことが大切です。