SNSで未開封ガチャガチャの中身を交換し、送った品に初期傷があった…そんなトラブルには法的にどう対応すべきなのか、契約不適合責任の観点から整理し、実務的なアドバイスをご紹介します。
そもそもSNS交換は『売買契約』とみなせる?
個人間でSNSを通じて未開封品を交換する行為は、贈与ではなく実質的に物々交換の売買契約と法律上扱われます。
したがって、交換後に中身に瑕疵(傷など)があれば、相手方は契約不適合責任を根拠に対応を求めることが可能です(改正民法562条〜564条):contentReference[oaicite:0]{index=0}。
初期傷がある場合、何を請求できる?
相手からは「返送+メルカリ購入費用を負担してほしい」と請求されていますが、これが妥当かは争点です。
本来の救済手段は以下の通りです。
- ①修補や代替品の提供(追完請求)
- ②修理不可・代替不可の場合、代金の減額
- ③契約の解除と代金返還+損害賠償
しかし、相手側が購入費用全額を補償してほしいというのは、基本的に権利範囲を超える過大請求です。
減額請求や損害賠償が認められるのは、「初期傷によって相手がどれほど不利益を被ったか」が合理的に示された場合に限られます。たとえば、商品価値が明らかに下がったり、壊れていたりした証拠が必要です。
こちらに責任があるときのポイント
契約不適合責任は、原則として売主に責任がありますが、買主側の過失(確認不足など)が原因だった場合には追完権や減額請求権が制限される可能性があります(改正民法562条2項):contentReference[oaicite:1]{index=1}。
本件では相手が「事前確認不足は了承済」としているため、責任を限定しにくく、過大請求になる可能性が高いでしょう。
実務的にどう対応すべきか?
まず相手に「どのような修復や代替を具体的に求めているか」を明示してもらうよう、穏当な文面で要求します。
次いで、初期傷の程度や価値低下を示す写真や相場情報などを提示し、合理的な減額案(例:元値の10〜30%程度)を提示すると交渉が進みやすくなります。
不当請求への対処法
相手が全額負担など不当な要求を続ける場合、以下の対応が考えられます。
- 消費者センターに相談して助言・調停を依頼
- 弁護士から内容証明で「過大請求である」と警告
- 交渉不調の場合に備え、問題の記録を残す(写真・やりとりなど)
まとめ
SNSでの未開封品交換でも法律上は契約が成立し、瑕疵があれば契約不適合責任を問えます。
ただし、相手の「メルカリで買った費用全額負担」は法的に認められる範囲を超えた過大請求です。
まずは合理的な修補・減額交渉を行い、冷静に対応。どうしても不当請求が続く場合は、消費者センターや弁護士に相談し、記録を活用しながら対応するのが適切なステップです。