ネット詐欺の被害に遭ったとき、特に少額(数万円)で発信者情報も不明なケースでは「泣き寝入りしかないのでは」と感じる方が多いです。しかし、弁護士を付けずにできる手段も存在します。本記事では、少額被害でもあきらめずに対応するための現実的な方法を紹介します。
発信者情報開示請求はなぜ難しいのか
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法に基づいて行われますが、通常は誹謗中傷や名誉毀損といった人格権侵害が前提です。詐欺被害の場合は対象外となることが多く、情報開示のハードルが高くなります。
さらに開示請求のためには裁判手続きが必要で、費用と時間もかかるため、数万円の被害では割に合わないケースが多いのが実情です。
弁護士を使わずにできる初動対応
1. 警察への被害届:まずは詐欺として最寄りの警察署に被害届を出しましょう。被害額が少額でも、繰り返しの被害がある詐欺師なら捜査対象になる可能性があります。
2. 消費者ホットライン(188)や国民生活センター:詐欺まがいの販売行為であれば、行政機関の助けが得られることもあります。
3. SNSや詐欺被害掲示板での情報共有:同様の被害者が集まり、加害者の情報を共有することで、集団で法的措置を取る可能性も広がります。
少額訴訟制度の活用
被害額が60万円以下の場合、「少額訴訟」という制度を利用できます。弁護士なしでも申立可能で、費用も1万円前後で済みます。
ただし、相手の氏名や住所が不明では訴えることができません。このため、商品購入時の振込先情報や連絡メールアドレスなどから相手を特定する努力が重要です。
振込詐欺の場合は金融機関への即連絡がカギ
銀行振込でお金を送ってしまった場合、すぐに振込先の金融機関へ連絡しましょう。「被害回復分配金制度」により、犯人の口座が凍結されれば、後に一部返金される可能性があります。
この制度は平成20年から施行されており、返金の申請は銀行側から案内されます。
被害を拡大させないために
詐欺の被害者となった後は、冷静に対処し、他の詐欺や勧誘ビジネスのカモにならないように注意が必要です。
実際、被害者向けに「返金代行」などをうたう二次詐欺も多く存在しています。相手が弁護士や行政書士を名乗っていても、すぐに信用せず、弁護士ドットコムなどの公的なサイトで確認するようにしましょう。
まとめ:泣き寝入りせずに取れる手段はある
発信者情報開示請求が難しくても、詐欺被害への対応策は多数あります。警察・行政への相談や少額訴訟の利用など、自力でできる手段を知ることで被害の回復や再発防止に繋がります。
7万円という金額でも、正当な権利を放棄する必要はありません。少しずつでも情報を集め、行動することが解決への第一歩です。