交際中の工事依頼で金銭・精神的被害…これって詐欺や貞操権侵害に該当する?法的観点から解説

交際相手に対して仕事を依頼し、後にトラブルへと発展するケースは決して珍しくありません。特に出会い系アプリやSNSを通じた関係では、信頼関係が不十分なまま契約に近い行為が行われることもあり、金銭や精神的ダメージの被害が問題になることも。本記事では、交際中の工事依頼で「料金の水増し」「未完成の施工」「連絡断絶」「既婚者との交際による精神的被害」などが起きた場合に、法的にどのような問題があるかを詳しく解説します。

見積書なしの工事契約は有効?リフォーム業に潜むリスク

まず、工事の見積書や契約書が存在しない場合でも、口頭での合意があれば民法上は「請負契約」が成立します。ただし、契約の内容や金額を証明する手段がなければ、後にトラブルが発生しても立証が難しくなります。

「100万円かからないと思う」という曖昧な説明では合意内容が不明確であり、のちに請求額が110万円になったとしても、不当請求と主張するためには証拠が必要です。

未完成工事と道具放置…損害賠償請求は可能か

工事が未完成であった場合、それに対して代金を全額請求することは原則としてできません。また、ペンキ缶や工具の放置は民法第709条の「不法行為」に該当する可能性があり、損害賠償や原状回復請求が可能となる場合があります。

施工不良や途中放棄が明らかな場合は、法テラスや消費生活センターを通じて対応するのが現実的な手段です。

既婚者との交際と精神的苦痛:貞操権侵害とは

既婚者と知らずに交際し、あとから事実を知って精神的ショックを受けた場合、民法上の「不法行為」として慰謝料を請求できるケースがあります。これを「貞操権侵害」と呼び、近年では判例も増えてきています。

特に、交際の開始時点で相手が独身を偽っていた場合、貞操権侵害が成立しやすく、交際期間や被害状況に応じて数十万円から数百万円の慰謝料が認められることもあります。

詐欺罪に該当する可能性はあるのか?

詐欺罪(刑法第246条)は「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立します。今回のようなケースでは、相手が工事を行う意図もなく最初から金銭を騙し取る目的だったと立証できれば、詐欺罪として立件される可能性があります。

ただし、立証には相手の「故意(最初から騙すつもりだった)」を証明する必要があり、警察や弁護士の協力が不可欠となります。

証拠がなくてもできる対応策

「見積書がない」「LINEや通話記録だけ」といった状況でも、やり取りのスクリーンショットや現場の写真、通帳の振込履歴などを集めることで証拠性が高まります。

また、第三者(弁護士や消費者センター)に相談することで、書面作成や示談交渉なども可能です。仮に詐欺の立証が難しくても、民事で損害賠償を請求する余地は十分にあります。

まとめ:感情と契約を分ける判断力を持とう

交際中に仕事を依頼する際は、信頼関係があるからこそ「口約束」や「書面なし」になりやすく、トラブルが発生しやすくなります。今回のように、恋愛感情と金銭のやり取りが絡むと、法的にも感情的にも複雑な問題になりがちです。

未完成工事や既婚者との交際による精神的被害についても、証拠をしっかりと保存し、早めに専門家へ相談することで、自分を守るための行動が可能となります。

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