ながら運転による事故とLINE相手の法的責任:通信相手は罪に問われるのか?

スマートフォンの普及により、運転中にLINEやSNSを使う「ながら運転」が社会問題化しています。この記事では、ドライバーがLINEのやり取り中に事故を起こした場合、その相手側にどのような責任や影響が及ぶ可能性があるのかを、法律の観点からわかりやすく解説します。

ながら運転の定義と罰則

道路交通法では「携帯電話使用等に係る交通の危険」として、運転中にスマートフォンで通話や注視(画面を2秒以上見る行為)することを禁止しています。違反した場合、違反点数や反則金だけでなく、重大事故の場合は刑事罰(懲役や罰金)が科されることもあります。

2019年の改正以降、罰則は大幅に強化されており、事故に至れば10年以上の懲役が科されるケースもあります。

LINE相手の特定は可能か?

事故後の捜査では、ドライバーのスマートフォンが証拠として押収されることがあり、そこから事故時刻に行われていたLINEや通話履歴が調べられる可能性があります。

通信記録が残っていれば、警察はLINEのサーバーを経由せずともスマホの履歴から相手を特定することは容易です。ただし、そのやり取りの中身までは捜査の目的が明確でなければ閲覧されにくいという現実もあります。

LINEのやり取り相手に法的責任はあるのか?

基本的に、LINEの相手がドライバーが運転中であることを知らなかった、あるいは事故との直接的な因果関係がない限り、責任を問われることはほぼありません。

しかし、もしLINE相手が「運転中なのに早く返事して」と煽っていた場合など、事故の原因を作ったと判断されれば、共犯や幇助罪などが成立する可能性も完全には否定できません。

実例:過去の裁判に見る「第三者責任」

過去に、アメリカ・ニュージャージー州では、運転中の恋人に何度もメッセージを送り続けた相手が、加害事故の一因として訴えられた事例があります。最終的には責任は認められませんでしたが、「送り手が運転中だと知っていたか」が焦点になりました。

日本国内では、2024年現在までにLINEのやり取り相手が法的に処分された事例は確認されていませんが、刑事民事ともに「共謀性」や「認識の有無」が争点になる可能性はあります。

もし事故が起きたら:ドライバーと通信相手が取るべき対応

ドライバーは、事故後すぐに弁護士を通じて事実関係を整理し、故意や過失の程度を正しく伝える必要があります。またLINE相手に連絡が入る可能性もあるため、相手にも事情説明が必要です。

相手側も記録を残しておくことで、「事故を誘発する意図はなかった」という証拠になります。可能であれば弁護士を通じて事前に対応方針を確認するのが望ましいです。

まとめ:通信相手の責任は基本的に問われないが注意は必要

ながら運転による事故では、責任の大半がドライバーにあります。しかし、やり取りの相手が運転中であると知りながら危険を助長するような内容を送っていた場合は、状況次第で責任を問われる可能性も否定できません。

大切なのは、「運転中はLINEや通話を控える」という意識を共有し、互いに事故リスクを減らすコミュニケーションを心がけることです。

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