昔に友人からもらった高級腕時計。相手が泥酔状態でのやりとりだったため、本当に贈与だったのか、法的な扱いに不安を感じている方もいるかもしれません。今回の記事では、こうしたケースにおける「売却の可否」や「バレるリスク」「法的責任」について、時効や贈与契約の考え方を交えて丁寧に解説します。
贈与は成立していたのか?その場でのやりとりの意味
贈与契約とは、「あげる」という意思と「もらう」という意思が合致すれば成立します。書面がなくても成立は可能です。ただし、贈与者がその意思を取り消せるのは履行前(渡す前)に限られます。
今回のように「腕時計をその場でもらい、持ち帰っていた」のであれば、形式的には贈与が完了している状態です。泥酔状態の影響は民法上の意思能力にも関わりますが、それが極めて重度でなければ、日常的なやりとりは有効とされる可能性があります。
相手が盗難として警察に届け出た場合の扱い
相手が警察に盗難届を出していたとしても、それが20年以上前であり、その後刑事事件や民事訴訟として立件されていないのであれば、現実的には捜査対象にはならないと考えられます。加えて、日本の刑法には盗品等処分あっせん罪や遺失物横領罪といった規定もありますが、時効の期間(原則は7年)を大きく経過しているため、今から責任を問われることはほとんどありません。
時計の売却は法的に問題ないのか
現在まで一切使用しておらず、自宅保管していた時計を売る行為自体は違法ではありません。ただし、質屋や中古買取業者によっては、盗品・遺失物でないかの確認のために「譲渡証明書」や「所有証明書」の提示を求められることがあります。
そのため、購入者から「これはどこで手に入れたものか」と尋ねられた際に、「知人から贈与されたが詳細は覚えていない」と正直に説明すれば、特に問題視されるケースは少ないでしょう。
バレる可能性とそのリスクは?
ブランド腕時計はシリアルナンバーなどで所有者の追跡が可能なことがありますが、20年以上前のものだと記録が残っている可能性は非常に低いです。
また、販売店側が盗品照会を警察に依頼することもありますが、時計が盗難品登録されていない場合、そこまで調査されることはほとんどありません。とはいえ、リスクを完全にゼロにすることはできないため、念のため時計の写真や販売証明書を保管しておくことをおすすめします。
今後も気になる場合の対応策
どうしても不安が残る場合は、弁護士に相談し、「今の所有状況が違法性を問われるか」「どう記録しておくべきか」といったアドバイスを受けることが有効です。匿名で利用できる無料法律相談なども各地の法テラスなどで提供されています。
また、売却ではなく「リサイクルショップに寄付」「時計の分解処分」など、リスクを低くする選択肢も検討してみてもよいでしょう。
まとめ:過去の経緯に不安があっても冷静に対処しよう
・20年以上前にもらった腕時計は、法律上贈与が成立していた可能性が高い
・盗難届けが出ていても、時効や証明の困難さから現時点で罪に問われることはまずない
・売却する場合は、正直に経緯を説明し、買取店のルールに従うことが重要
・それでも不安が残るなら弁護士への相談を活用する
大切なのは、事実に基づいて冷静に判断し、必要な準備をした上で行動することです。