交通事故で「加害者」とされた場合でも、自らが怪我を負ったときには慰謝料が請求できるのか、不安に思う人は多いでしょう。特に自賠責保険における慰謝料の扱いや、過失割合との関係は誤解されがちです。この記事では、自身に100%の過失がある事故で通院し続けた場合でも、慰謝料を満額受け取れるのか、詳しく解説していきます。
自賠責保険は「過失割合」にかかわらず支払われる
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、人身事故によってケガを負った全ての当事者に対して、過失の有無にかかわらず一定の補償を行う制度です。
したがって、事故の加害者であり100%過失がある場合でも、自分が怪我をしていれば慰謝料は原則として支払われます。これは“被害者請求”として、自ら自賠責に直接請求することが可能です。
慰謝料の計算方法:1日あたり4,300円
自賠責における慰謝料は、以下の式で計算されます。
通院日数 × 2 × 4,300円
※ただし、実通院日数×2と「実際の治療期間(初診日〜最終診察日)」の日数のいずれか少ない方を採用
たとえば、5ヶ月で55日通院していた場合:55日 × 2 = 110日 → 上限が150日以内 → 110 × 4,300 = 473,000円
これに基づいて約47万円程度の慰謝料が算出されます。
例外:任意保険からは過失分が減額される可能性も
一方、任意保険による人身傷害補償などを使った場合は、契約内容によっては自分の過失割合をもとに慰謝料が減額されるケースがあります。
特に“搭乗者傷害保険”では満額支払われることが多いですが、人身傷害保険では自己の過失割合を考慮した支払になる場合があるため、保険会社に直接確認することが大切です。
加害者側でも注意すべき手続きとポイント
- 自分で自賠責に「被害者請求」する必要あり(任意保険会社が代行しないケースも)
- 診断書・通院記録・領収書など、医療証拠はしっかり揃えておく
- 請求書類は損保会社または共済組合に提出
特に自分が加害者側である場合、保険会社が自発的に慰謝料を案内してくれないことがあるため、自分から積極的に申請する姿勢が重要です。
まとめ:加害者でも慰謝料は請求できる
- 自賠責保険の慰謝料は過失割合に関係なく支払われる
- 通院日数と期間に基づき、最大120万円の範囲内で請求可能
- 任意保険の場合は減額の可能性があるため契約条件を要確認
- 事故の当事者でも適切な治療と証拠の保全で、正当な補償を得られる
交通事故で体を傷めた際、たとえ過失が自分にあっても諦めずに適切な請求を行うことが、回復への第一歩です。