訪問販売や電話勧誘販売などで契約したあと、「やっぱり解約したい」と思ったときに使えるのがクーリングオフ制度です。しかし、電話でクーリングオフを申し出るだけで効力があるのか、書面での通知が必要なのか、正しい手続きについては意外と知られていません。この記事では、クーリングオフの正しい申請方法とその後の流れについて、具体的に解説します。
クーリングオフとは?制度の基本をおさらい
クーリングオフは、一定の取引において契約後一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。主に訪問販売や電話勧誘販売などの、消費者にとって不意打ち性の高い契約を対象としています。
たとえば、訪問販売で契約した場合は8日以内であればクーリングオフが可能であり、すでに支払った金額も全額返金されます。また、商品の引き取り費用も販売業者が負担します。
電話での申し出だけでクーリングオフは成立する?
結論から言えば、電話でクーリングオフを申し出ただけでは、法的効力は原則として認められません。電話は証拠が残りづらく、トラブルになった際に「言った・言わない」の争いになりやすいからです。
そのため、法律では書面または電磁的記録(メールやFAX)での通知が必要とされています。書面による通知は、内容証明郵便を使うのが最も確実で、法的効力の証明にもなります。
クーリングオフ後に契約はどうなる?
クーリングオフ通知が有効に届けば、契約は最初からなかったものとして扱われます。つまり、別途「契約解除」の手続きをとる必要はありません。
商品の引き取りや代金返還のやり取りは販売会社が対応すべき内容であり、消費者側は通知後、基本的に対応を待つだけで構いません。通知が無視された場合でも、内容証明郵便などで記録が残っていれば、法的措置も可能です。
正しいクーリングオフ通知の書き方
以下は書面で通知する際の例文です。ハガキや内容証明郵便に使えます。
令和◯年◯月◯日
株式会社◯◯御中
私は、令和◯年◯月◯日に貴社と契約した◯◯について、クーリングオフ制度を利用して契約を解除いたします。
氏名/住所/電話番号
※送付は必ずコピーを取り、特定記録郵便や簡易書留など追跡できる方法を選びましょう。
メールでのクーリングオフは可能?
近年は「電磁的記録」による通知も有効とされており、販売業者がメールによる通知を認めていれば利用できます。ただし、メールでの通知が届いたことを証明できる仕組みが必要です。たとえば、送信履歴のスクリーンショットを保存したり、Bccで自分宛に同報送信するのが望ましいです。
まとめ:電話は補足手段、確実なのは書面やメールでの通知
クーリングオフを確実に成立させるには、電話だけで済ませるのではなく、書面またはメールなど記録が残る形での通知が必要です。電話は事前に意思を伝えるための補足手段と考えましょう。
通知が到達すれば契約は解除され、消費者が支払った代金も返金対象となります。トラブルを避けるためにも、正しい手続きと証拠の保存を徹底することが重要です。