刑務所で服役中の無期懲役受刑者が、新たな犯罪行為、特に暴力事件を起こした場合、その刑事責任や量刑の扱いはどうなるのでしょうか。日本の刑法や実際の判例に基づいて詳しく解説します。
刑務所内の犯罪も「新たな犯罪」として扱われる
刑務所内での暴力行為や傷害事件は、当然ながら新たな犯罪として独立して起訴されます。たとえ既に無期懲役で服役中であっても、それに対して新たな刑罰が科されることになります。
刑務官への暴行、他の受刑者への傷害などが該当し、通常の社会で起こる同様の犯罪と変わらない刑事手続きが行われます。
再び「無期懲役」になるのか?
無期懲役中の再犯で再度無期懲役となることは、理論上あり得ますが、現実には極めて稀です。通常は、懲役数年などの有期刑が加算される形になります。
ただし、事件の内容が重大であり、死傷者が出た場合などは例外的に二度目の無期懲役も求刑・判決されることがあります。
実例:無期懲役受刑者による刑務所内事件の量刑
実際の判例では、既に無期懲役を受けている受刑者が刑務所内で暴行事件を起こした場合、懲役1年~5年程度の刑が付加的に科されることが多いです。
この追加刑は「仮釈放の判断材料」に大きく影響します。加算された刑期よりも、その行為自体が更生に反すると見なされ、仮釈放の審査を厳格化させる効果があるのです。
仮釈放への影響と終身刑の現実
日本では無期懲役でも20年経過後に仮釈放の可能性があります。しかし、刑務所内での再犯歴がある場合、「更生の見込みなし」と判断されるリスクが高く、仮釈放は極めて難しくなります。
実際に再犯歴を持つ無期懲役囚の多くは、終身服役となる傾向にあります。
まとめ:無期懲役中の再犯は「軽くない」
無期懲役中であっても、刑務所内での暴力事件は新たな犯罪として有罪判決を受けます。刑は通常加算型の有期刑となりますが、それ以上に仮釈放への道が絶たれる可能性が高いことが最も重大です。
すでに無期刑だからといって再犯が「意味を持たない」わけではありません。刑務所内の生活態度と犯罪行為は、受刑者の将来を大きく左右する重大な要素なのです。