警察官の守秘義務と私的相談の取り扱い:地方公務員法との関係を解説

警察官がプライベートの場で受けた相談を第三者に話すことは、一見私的な交流の延長のようにも思えますが、場合によっては守秘義務違反に該当する可能性があります。本記事では、地方公務員法や守秘義務の法的根拠、そして万が一違反した場合の罰則についてわかりやすく解説します。

警察官に課される守秘義務とは

地方公務員法第34条では、公務員に対して「職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と定められています。警察官もこの規定の対象であり、職務上得た情報だけでなく、職務に密接に関連するとみなされる情報も含まれます。

これは現職中のみならず、退職後も継続される義務である点が重要です。プライベートな場でも、職業的立場を通じて知った情報を漏らせば、法的責任を問われる可能性があります。

プライベートな相談と守秘義務の境界

たとえば、知人から「警察官だから」と信用されて話された束縛・浮気・人間関係の悩みなどがあった場合、それが“職務外の情報”であっても、相談者が職業的な信頼性を前提に話した内容であると認識できるなら、守秘義務の対象となる可能性があります。

つまり、情報の性質ではなく、情報がどういった文脈で得られたかがポイントです。

暴露やSNS投稿は処分対象になる?

警察官がこうした情報を、同僚や民間人、SNS、暴露系配信者などを通じて漏らした場合、内容によっては内部処分だけでなく、法的処罰の対象になることもあります。

実際、過去には業務外の場で知った個人情報を漏洩したことで戒告・減給といった懲戒処分が下された事例も存在します。

地方公務員法第34条の法的効果

同法第34条に違反した場合、刑事罰としては地方公務員法第60条により「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに、懲戒処分として「戒告・減給・停職・免職」のいずれかが下される場合もあります。

また、この規定には「公益上の必要性」があれば例外的に情報提供が認められる余地はありますが、それには慎重な判断が必要で、個人の判断ではなく組織的判断が求められます。

「公益性がある」場合の扱いは慎重に

「不特定多数の人のためになる」といった理由で情報を漏らした場合でも、その判断が個人的なものであれば守秘義務違反を免れない可能性があります。公益性があるかどうかの判断は、第三者機関や上司などを通じた手続きが不可欠です。

個人がSNSなどを通じて発信することは、その意図に関わらず処分対象になるリスクが高いため、極めて慎重な対応が求められます。

まとめ:信頼される職業としての自覚を持つ

警察官はその職業的信頼性から、多くの人が心を許して相談を持ちかける存在です。だからこそ、得た情報の扱いには十分な注意が必要です。

たとえプライベートな場であっても、立場や信頼に基づく情報は守秘義務の対象となり得ます。無自覚な情報漏洩が法的責任に発展することもあるため、警察官本人だけでなく、周囲もその意識を共有することが重要です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール