インターネット上で「NHKを契約せずにいると、集金人が壁に聴診器を当ててテレビの音を調べてくる」という噂が出回っています。果たしてこれは本当なのでしょうか?本記事では、そのような行為が現実にあるのか、法的な問題があるのかについて詳しく解説します。
「聴診器調査」の噂の出どころとは?
ネット掲示板やSNS上では、NHKの委託業者が聴診器を使って室内のテレビ音を探るという話が散見されます。特に「テレビがあることを証明するために音を探る」といった主張が目立ちます。
しかし、このような行為が公式にNHKの方針として認められているという証拠は一切ありません。また、NHKも公式にはこのような調査方法を認めておらず、過去の国会答弁や広報でも否定されています。
仮にやっていたら違法?聴診器調査はプライバシー侵害の可能性
もし第三者が建物の壁越しに音を盗み聞きするような行為を行えば、以下の法的問題が生じる可能性があります。
- 住居侵入罪未遂:音を聞くために玄関ドア付近に長時間居座るなどの行為が該当する可能性
- 不退去罪:退去を求めても応じない場合
- プライバシーの侵害:本人の許可なく私的空間の情報を探る行為
つまり、仮に事実であれば、民事的にも刑事的にも問題となるリスクが高い行為です。
NHK受信契約の義務と実際の対応範囲
放送法第64条では、「受信設備(テレビなど)を設置した者はNHKと受信契約を結ばなければならない」とされています。ただし、契約義務が発生するのは、「設置していることが確認された場合」に限られます。
そのため、訪問員が「テレビありますか?」と確認するのは正当な業務ですが、住居の中まで確認する権限はありません。また、任意の契約行為である以上、強制的な手段での契約や調査は認められていません。
訪問時にできる市民側の対応と対策
NHKの訪問員や委託業者が来た際は、以下のような対応が可能です。
- インターホン越しに「契約しません」と明確に伝える
- ドアを開けない、会話を記録する
- 身分証明書の提示を求める(提示義務あり)
また、不審な調査行動を目撃した場合は、NHK本体への通報や、消費生活センターへの相談が推奨されます。
まとめ:聴診器での調査はデマの可能性が高いが、対策は必要
「NHKが聴診器でテレビ音を調べる」という話は都市伝説的な要素が強く、実際に行われている事実や証拠は確認されていません。一方で、訪問販売的な過剰な手法やトラブル事例は実在します。
受信契約の義務は放送法に基づきますが、その過程で個人のプライバシーを侵害する行為は許されないため、不当な訪問や調査には冷静に対応し、記録や相談を心がけましょう。