中古車などを遠方から購入する場合、電話やメールでやり取りする「非対面契約」が増えています。しかし、契約成立のタイミングやキャンセル時の返金可否については誤解が生じやすく、トラブルに発展するケースも少なくありません。本記事では、口頭での合意や注文書の未返送、整備前のキャンセルといった複雑な状況において、法的に契約が成立したかどうか、そして諸費用の返金が求められるかを詳しく解説します。
口頭の合意で契約は成立するのか?
民法上、契約は「申込み」と「承諾」によって成立します。そのため、書面がなくても、口頭で具体的な条件について合意していれば契約自体は成立します。
ただし、合意内容が曖昧だったり、一方的な通知(例:PDFの送付)だけでは「承諾の意思表示が明確でない」と解釈され、契約不成立とみなされる可能性もあります。
今回のケース:注文書未返送はどう扱われる?
販売店から注文書をPDFで送付されても、買主側が記入・返送していない段階では「意思表示の確定」がされていないとされる可能性が高いです。これは特に重要な契約書類であるため、返送がなければ契約の成立を否定する材料となり得ます。
さらに、販売店側が「ネットに再掲載する」と発言したことも、「まだ契約は確定していない」とする態度の表れと見なされる可能性があります。
整備開始の責任は誰にあるか
整備が行われたとしても、それが買主からの明確な依頼なく独自判断で行われた場合、代金の請求やキャンセル料請求の正当性は疑わしいです。
この場合、「債務不履行」や「不当利得」に該当する可能性があり、買主に費用を負担させる法的根拠は弱くなります。
諸費用は返還されるのか?
契約が成立しておらず、整備も未依頼ならば、販売店は諸費用分を返還する法的義務が生じる可能性があります。返金を拒否されても、内容証明郵便などで請求書を出すことで返金交渉の一歩となります。
場合によっては、消費生活センターや法テラスなどを活用するのも効果的です。
実際の判例や消費者相談の傾向
過去のトラブル事例では、「書面が未返送」「整備は販売店の独断」などの要素がある場合、多くが買主有利に解決されています。特に遠方での購入は誤解も生じやすいため、慎重な対応が求められます。
消費者庁や国民生活センターもこのようなケースに対して「契約成立とは認められない可能性が高い」としています。
まとめ:今回の状況と対処法
今回のケースでは、注文書未返送・整備の未依頼・PDFの送付のみ・「再掲載」の発言などから契約不成立と判断される可能性が高く、諸費用は返還されるべきと考えられます。
返金を求める際は、会話記録や送受信履歴を保存し、冷静に法的手続きを進めることが重要です。