違法建築物を壊すと違法?勝手に撤去した場合の法的リスクと対応策

違法に建てられた建造物を見かけたとき、「これは壊しても大丈夫なのでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、たとえ違法に建てられていたとしても、勝手に破壊すれば法律に違反する可能性があります。本記事では、違法建築物の扱いと、壊した際に問われる罪について解説します。

違法建築とは何か?

違法建築とは、建築基準法や都市計画法などに違反して建てられた建物を指します。例えば、無許可で建てられた建物や、用途地域に反した建物が該当します。

一例として「山中に中国企業が無許可で建物を建てた」というケースが報道されていますが、このような事例でも建築主には所有権や財産権が残っている可能性があります。

たとえ違法でも「他人の財産」を壊せば器物損壊罪

民法および刑法の観点からは、違法に建てられたものであっても所有者がいれば、それを壊す行為は「器物損壊罪」や「不法侵入」などの罪に問われる可能性があります。

刑法261条では、他人の物を損壊した場合に「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」などが科せられると定められています。違法建築であっても、まずは「誰の所有か」が重要なのです。

勝手に撤去することが許される例はあるか?

唯一、勝手な撤去が許される例外は「緊急避難」や「正当防衛」の場合です。例えば、倒壊の危険があり周囲に危害を及ぼす可能性が高い場合や、不法占拠により自分の財産権が侵害されている場合などです。

ただし、これらは非常に限定的な状況でしか成立しないため、基本的には行政(市町村や都道府県など)に通報し、正式な手続きによって対応を求めることが推奨されます。

行政に通報すれば撤去命令が出る可能性がある

違法建築物があることを発見した場合は、管轄の自治体に通報しましょう。建築指導課や都市計画課などが調査し、違法であれば是正勧告や撤去命令を出すことがあります。

一部の地方自治体では、通報用のフォームや相談窓口が設けられている場合もあります。写真や位置情報など、客観的な情報を提供することで、対応が迅速になる可能性があります。

私有地に無断で建てられた場合の対応

自分の私有地に勝手に建てられた建造物であっても、すぐに壊すのではなく、まずは内容証明などで撤去を要求し、相手の対応を待ちます。それでも応じない場合は、民事訴訟や強制執行を通じて撤去するのが法的に適正です。

このように、いかなる理由があっても自己判断で破壊行為を行うのは避けるべきです。

まとめ:違法建築でも「壊してよい」とは限らない

違法に建てられた建物であっても、勝手に壊す行為は法律に触れる可能性があり、刑事責任や民事責任を問われるリスクがあります。対応したい場合は、必ず行政や法律の専門家を通じて正式な手続きに沿って行動しましょう。

社会正義や安全を理由に行動する場合でも、法の枠組みの中で対応することが最も確実で安全です。

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