宅配業者による配送中に荷物が盗難・紛失した際、「自分で被害届を出せない」と警察に言われ戸惑うケースは少なくありません。この記事では、実際の運送トラブルにおける被害届の提出者の立場や、所有者ができる対応策をわかりやすく解説します。
配送中の盗難は「被害者」が誰かが問題になる
運送会社が荷物を預かった時点で、所有権は依然として送り主にありますが、「占有」は運送会社に移ります。このため、盗難や紛失が配送中に起きた場合、法律的には被害者は運送会社(ヤマト運輸など)となります。
そのため、警察としては「荷物の占有者であるクロネコヤマトが被害届を出すべき」と判断し、所有者が直接届け出をすることができないと説明することがあります。
被害届が出せない?届け出場所の原則と現実
盗難・紛失などの被害届は、原則として被害が発生・発覚した場所を管轄する警察署が受け持ちます。そのため、埼玉県で紛失が確認されたなら、そちらでの届け出が基本です。
しかし、荷物の通過経路が神奈川~埼玉間の広域である場合、捜査の効率や責任範囲の判断から、最終的な配送先である埼玉に管轄を集中させる運用が行われることがあります。
所有者でもできる対応:被害届以外のアクション
たとえ被害届を出せないとしても、荷物の所有者が行える対処法があります。
- 運送会社に正式な「事故証明書」や「配送トラブル報告書」の発行を依頼
- ヤマト運輸に「被害届提出の要請」を文書で行う(警察署の名称も記載)
- 内容証明郵便での通知により、対応記録を残す
これらを通じて、実質的に捜査を促したり、損害賠償の根拠を固めることが可能になります。
過去の警察対応に不信感がある場合の相談先
警察対応に対して不信がある場合は、警察庁の苦情受付フォームや、各都道府県警察の「監察室」への意見申し出ができます。
また、消費者センターや弁護士への無料法律相談を通じて、法的手続きを含めたアドバイスを受けることもおすすめです。
法的な所有者と被害者の違いに注意
刑法上、「窃盗罪」の成立には被害者が被害を主張できる正当な立場にある必要があります。ただし「所有権」はあなたにあり、「被害届が出せない=泣き寝入り」ではありません。
法的には、「被害届提出権限」は占有者(今回ならクロネコヤマト)にあることを理解しつつ、民事としての損害賠償や交渉は、所有者として十分に行えるという点を覚えておきましょう。
まとめ:諦めずに正しい手順で交渉と相談を
配送中の盗難で所有者が被害届を出せないのは、法律的に一定の理屈がありますが、それは「無力」を意味しません。運送会社を通じて捜査を促しつつ、事故証明の取得や法律相談など、被害回復に向けた道は多数あります。
過去の対応に不信がある場合でも、冷静に記録を取りながら、第三者の力を借りて対応していくことが大切です。