インターネット上の誹謗中傷行為は、時間が経った後でも問題になることがあります。特に未成年の頃に無意識のうちに投稿した過激な言葉やコメントが、後になって悩みの種になるケースも少なくありません。本記事では、ネット上の誹謗中傷に関する「時効」や「開示請求」の可否について、わかりやすく解説します。
ネットの誹謗中傷に関する法的な責任
ネット上の書き込みによって、他人の名誉や感情を傷つけた場合、名誉毀損罪(刑事)や不法行為による損害賠償請求(民事)が成立する可能性があります。
名誉毀損・侮辱・業務妨害などの刑事責任は、告訴があれば警察の捜査対象となり、民事では損害賠償請求が行われることもあります。
誹謗中傷の時効は何年?
民事上の損害賠償請求権の時効は、加害者と被害者の関係や損害の発覚時点により異なります。
- 損害および加害者を知った時から3年(民法724条)
- 行為の時から20年(除斥期間)
つまり、書き込みから6〜7年経っていても、被害者が「加害者を特定した時点」が最近であれば、3年以内で請求可能な場合があります。
開示請求は時効後も可能なのか?
プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求は、通常は権利侵害があったことを被害者が知ってから3年以内に行われます。
ただし、サービス提供者側(YouTubeや通信会社)が保有するログの保存期間(通常は6か月〜1年)を過ぎていると、実質的に「開示不可能」となります。
つまり、理論上開示請求はできても、技術的に「開示できる情報が残っていない」ケースが多いのです。
未成年時の投稿と責任の重さ
未成年であっても、法的責任を完全に免れるわけではありません。実際に、民事では親権者(親)に監督責任を問われることもあります。
ただし、誠意を持った謝罪や和解の姿勢を見せることで、被害者との関係修復や損害の軽減につながることもあります。
後悔している場合にできること
・投稿を思い出せる範囲で記録やスクリーンショットを整理しておく
・可能であれば被害者に謝罪の意志を伝える
・今後の同様行為を防ぐため、SNSやコメント欄での発言に注意する
また、弁護士に相談することで、責任の有無やリスクを整理することもできます。
まとめ:過去の投稿に悩んだときの考え方
・誹謗中傷の時効は「加害者を知ってから3年」が基本だが、例外もある
・YouTubeなどのプラットフォームのログ保存は短く、6〜12か月程度が多い
・時効を過ぎても、謝罪や反省の姿勢が大切
・罪を償いたいと感じているなら、まずは法律専門家に相談して自分の立場を明確にすることが安心につながります