社員の飲酒運転が発覚した場合、企業がどのように対応すべきかは法的にも社会的にも重要な問題です。もし会社がそれを隠蔽していた場合、どのようなリスクがあるのか、本記事では詳しく解説します。
飲酒運転は犯罪行為、企業にも説明責任がある
飲酒運転は道路交通法違反にとどまらず、場合によっては危険運転致死傷罪など重い刑罰の対象にもなります。企業にとっても「社員の法令違反」に該当し、就業規則違反や信用失墜行為として懲戒対象になることがあります。
仮に飲酒運転によって物損事故が発生していたならば、保険会社や警察への報告も必要となり、被害者が存在すれば民事責任や損害賠償責任も伴います。
企業が飲酒運転を隠蔽したときのリスク
会社が飲酒運転の事実を把握していたにも関わらず、警察等への通報を行わず、懲戒処分もせず勤務継続を容認した場合、企業自体に組織的隠蔽の疑いがかかる可能性があります。
また、今後その社員が再度不祥事を起こした場合、「企業は再発防止措置を講じていなかった」と判断され、使用者責任を問われることもあります。これは安全配慮義務違反にもつながり得ます。
実際にあった企業の処分事例
たとえば、自治体や公務員で飲酒運転が発覚した場合、多くは懲戒解雇・停職・減給など厳しい処分が下されます。
民間企業でも、大手運送会社や製造業では「企業イメージ悪化」を避けるため、事故後速やかに記者会見や謝罪を行う対応がとられています。逆にこれを怠ると炎上・株価下落・契約解除などの事例もあります。
退職後でも通報・相談は可能?
たとえ自分が既に退職している立場でも、企業に不正行為があったと考えられる場合は、通報は可能です。公益通報者保護法の対象にはならない場合でも、内部告発や労基署・警察・消費者庁等への相談は現実的な選択肢です。
特に事故がもみ消された可能性がある場合は、証拠(日時・会話内容・目撃証言など)を記録しておきましょう。
企業倫理とコンプライアンスの観点から
コンプライアンス(法令遵守)を重視する企業であれば、飲酒運転を黙認すること自体が社内ルール違反となり、役員や上司にも監督責任が問われるべきです。
また、社員の不祥事がニュースにより明るみに出た場合、会社がすでに把握していたのに黙っていたとなれば、報道の焦点が「企業の隠蔽」に移り、より深刻な問題へと発展することになります。
まとめ:会社が飲酒運転を揉み消していたら?
飲酒運転という重大な違法行為に対し、会社が適切な対応をしなかった場合、その責任は個人だけでなく企業にも及ぶ可能性があります。
疑念がある場合は、法的相談窓口(労働問題・交通犯罪相談・公益通報窓口など)を活用し、事実確認と記録の確保を行うことが重要です。