少年事件では、状況に応じて少年院送致という重大な処分が科されることがあります。特に保護観察中の再犯は、家庭裁判所において重く評価される傾向にあります。本記事では、少年院送致の判断基準や示談の効果、再犯が与える影響について、法律的な視点から詳しく解説します。
少年院送致の基本的な仕組み
少年事件は、家庭裁判所に送致された後、保護処分(保護観察、児童自立支援施設送致、少年院送致など)のいずれかが選択されます。これらの決定は、非行の内容や反省の態度、保護者の監督能力、生活環境、再犯リスクなどを総合的に考慮して決まります。
特に少年院送致は、社会内での更生が難しいと判断された場合に選ばれるため、最も重い処分のひとつとされています。
示談が成立すれば少年院を回避できる?
示談が成立し、被害者が被害届を取り下げた場合、処分に一定の良い影響を与えることは確かです。これは「加害者が責任を果たそうとしている」という評価につながるためです。
しかし、保護観察中の再犯という事実は、それだけで非行傾向が強いと見なされやすく、示談だけで少年院送致を完全に回避できるとは限りません。示談はあくまでも「減軽材料の一つ」にすぎず、送致の有無は家庭裁判所の裁量に委ねられます。
保護観察中の再非行が及ぼす影響
保護観察中は、法的には「保護処分中」であり、既に非行歴があることを前提に見られます。この期間中に再度事件を起こすと、社会内処遇の効果が薄いと判断される可能性が非常に高く、少年院送致のリスクが一気に高まります。
特に今回のような「窃盗行為」は、被害者に直接的な損害を与える犯罪であり、刑事処分の必要性が強調されやすい傾向にあります。
弁護士の重要な役割とできる対応
弁護士は、被害者との示談交渉をはじめ、家庭裁判所への意見書作成、裁判官や調査官への状況説明など、少年に有利な処分を導くための多岐にわたる支援を行います。
たとえば、以下のような主張が可能です。
- 本人が深く反省している証拠の提出(反省文、謝罪文など)
- 保護者による今後の監督体制の強化
- 生活環境改善の計画(転居、学校復帰、就労予定など)
再犯防止のために今からできること
示談成立を目指すと同時に、本人の更生に向けた取り組みも重要です。たとえば、被害者への誠意ある謝罪、ボランティア活動や生活指導機関への通所など、社会的信頼を回復する姿勢を示すことが効果的です。
保護者や周囲の支援も不可欠です。裁判官や調査官は、再犯の恐れを減らす環境があるかを重視するため、家庭環境の見直しも合わせて行いましょう。
まとめ:少年院送致は避けられるが、甘く見てはいけない
保護観察中の再犯は、家庭裁判所において極めて重大に捉えられます。示談が成立したとしても、少年院送致を完全に避けられる保証はありません。しかし、弁護士の適切な対応と本人・家族の真摯な姿勢により、より軽い処分を得る可能性は十分にあります。
まずは早急に信頼できる弁護士に相談し、示談の成立と生活環境の改善を並行して進めることが、最も現実的な対処方法となるでしょう。